ざるを干す朝
朝、台所の窓を開けると、まず竹のざるを外の台に出します。前の晩に青菜の水をきったざるは、まだ少し湿っています。
竹は、乾かすほど長持ちします。ぬれたまま棚に重ねておくと、ひと月もしないうちに黒い点が出てくる。工房の方にそう教わってから、晴れた朝にざるを干すのが私の仕事になりました。
使いはじめのざるは、青みのある白っぽい色です。毎日のように日に当てていると、一年ほどで、こっくりとした飴色に変わっていきます。店の棚の新しいざると、うちの台所のざるを並べると、同じ物とは思えないほどです。
道具が育つ、という言い方があります。手をかけた分だけ、道具がこちらに寄ってくる感じがする。ざるを干す数分は、その手間がいちばん楽しい時間かもしれません。
店主 宮坂なお

