TAMARI-玉理論 · Journal · 2026-06-27
鼻の高さとラシャの走り ── v10 で台コンディションを詰めた
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v9 で「クッションの堅さ (COR)」 をやった。 v10 はその続きで、 台コンディションをもう一段詰める回。 クッション鼻の高さ と ラシャ (布) の走り、 それと積み残してた 衝突中の側スピン消費 を足した。 今回も先に文献で裏取りしてある。
クッション鼻の高さ ── 高いと長い、 低いと短い
クッションのゴムが球に当たる「鼻」 の高さ。 v9 のときに調べて「中心の上 約0.27R (WPA 規格でボール直径の63.5%)」 だと分かったやつ。 この高さが変わるとバンクが変わる。
- 高い鼻 → 跳ね返りが遅く、 バンクが長い (角が寝る)
- 低い鼻 → 速く、 短い (角が立つ)
理由は、 高い鼻だと球が布に押し込まれる方向に当たって外への軌道が伸び、 低い鼻だとキビキビ短く返るから。 0.5D (中心) まで下げると滑りとホップが増え、 0.7D まで上げると摩耗が進む。 だから 0.635D が現場の妥協点になってる。 デモでは鼻の高さスライダーで、 同じ撞き方でもバンクの長短が変わるのを見せた。
→ 台コンディション2 (鼻の高さ・ラシャ走り) v10 を試す
ラシャの走り ── 滑る布はよく走る
「この台走るね」 の正体。 新しい滑る布は摩擦が小さいので球がよく走る (転がり抵抗が小さい)。 古い・重い布は走らない。 v10 では「ラシャの走り」 スライダーで転がり摩擦を変えられるようにした。 速い布にすると、 手玉も的玉も止まるまでの距離が伸びる。
ひとつ文献で確認できておもしろかったのが、 throw (スロウ) は布と無関係 だってこと。 スロウを生む力は衝突の一瞬で決まって、 球が布と擦り合う前に終わってるから。 だから「布を変えてもスロウ量は変わらない」。 走り (転がり) は布で変わるけど、 当たった瞬間の振られ (スロウ) は布で変わらない ── ここは分けて理解しとくと混乱しない。
衝突中の側スピン消費 (積み残しの回収)
これは地味だけど大事な精緻化。 手玉を捻って的玉に当てると、 手玉は自分の側スピンを衝突で少し失う (その分が的玉への貰い捻りになる)。 これまでの版では、 衝突後の手玉がまだ「撞いたときの満タンの側スピン」 を持ってる前提でクッション反射を計算してた。 v10 では 消費後の (減った) 側スピン でクッション反射を計算するように直した。 捻りを使ったあとのクッションの効き方が、 ちょっと現実に近づく。
v10 で足したスライダー
- クッション鼻の高さ … 低い (短い) ↔ 高い (長い)
- ラシャの走り … 重い (走らない) ↔ 滑る (走る)
v9 までの「クッションの堅さ」 もそのまま残してある。 数値バーには鼻の高さによるバンクの傾向と、 ラシャの転がり摩擦を出した。
デモで試してほしい 2 つ
1 個目: 鼻の高さでバンクの長短
手玉がクッションに当たる設定にして、 鼻の高さを低い↔高いで振る。 反射後の手玉が、 高いほど角が寝て長く、 低いほど立って短くなるのを見てほしい。
2 個目: ラシャの走りで走行距離
ラシャの走りを重い↔滑るで振る。 同じ初速でも止まるまでの距離が変わる。 滑る布だと手玉も的玉もよく走る。
今回の作り方について
クッションと布は要素が多くて思い込みで作ると危ない。 だから鼻の高さの効果 (高い→長い) も、 布とスロウの関係 (無関係) も、 Dr. Dave の資料・WPA 規格・Mathavan の論文を直接読んで裏取りしてから実装した。 機械での一括検証が止まったときは、 大事なところだけ元の資料を読み直して確認してる。 詳しい調査と実装の記録は別途まとめてある。
台が変われば球が変わる ── その「変わり方」 を、 堅さ (v9) に加えて鼻の高さと布の走りまで動かせるようにしたのが v10。
参考にしてる文献
- Alciatore, D. (Dr. Dave) の cushion nose height・bank/kick・throw の資料
- Mathavan, Jackson & Parkin (2010) クッション衝突の解析
- WPA (世界プール協会) 機材規格
- pooltool (物理エンジン) のドキュメント
→ 台コンディション2 (鼻の高さ・ラシャ走り) v10 を試す