kick-routesTool / 別シリーズ
キック/バンク ルート探索
回転・強さを先に決めると、 実際に的玉へ入る狙い (ルート) を逆算して提示。 当たった後の 手玉・的玉の走りまで実演する、 hit-point とは別系統のキック専用ツール。
このツールでできること
キック/バンクの「ルート探索」 ツール。 手玉・的玉・障害球をドラッグで配置し、 回転 (撞点) と強さを先に決めると、 その条件で実際に的玉へ芯で入る狙い (ルート) を逆算して複数本同時に表示する。 さらに「当たった後」 ── 着弾スピード・厚み・手玉と的玉の走り (摩擦で止まるまで) ── を予測線とアニメで見せる。
画面の見方
実線 = この回転・強さで実際に入る狙い、 薄いグレーの破線 = 無回転のミラー基準。 レールにはダイヤ番号 (長0–8 / 短0–4) が振られ、 ルートを選ぶと接触点を「下3.2 → 右1.5」 のダイヤ言語で表示。 下の撞点ピッカーで横/縦回転、 スライダーで強さ (〜10 m/s)。 「▶ 当たった後を再生」 で手玉と的玉が実際に走る。
解説
- ●まず「回転」 と「強さ」 を決める。 すると “その撞き方で実際に入るルート” だけが線で出る。 撞き方を変えると入るルートも変わる ── これが普通のキック探索ツールとの違い。
- ●横回転を入れると狙いがミラー (幾何の基準線) からズレる。 強さが足りないと届かず、 そのルートは消える。 「強く撞かないと2〜3クッションは届かない」 が体感できる。
- ●押し/引き (縦回転) でも手玉のラインが変わる ── 押しはレールから長く、 引きは短く出る。 ただし長く走ると回転は消えるので、 効くのは近い最初のクッション中心。
- ●「当たった後」 を再生すると、 芯で当たれば的玉が勢いよく走り、 手玉はフォローで控えめに追う ── エネルギーが的玉に移るのが見える。
- ●ダイヤ番号で「1つ目は下の3番、 2つ目は右の1.5番」 みたいに、 実戦でルートを語る言葉のまま読める。
- ●逆算 (shooting method): 初期方向 θ を一周掃引し、 物理トレース (クッション反射=較正済みミラー+スロウ、 走行距離で転がり摩擦による減速) で手玉が的玉中心に芯で重なる θ を二分探索で求める。 回転・強さを変えると解 (入るルート) が変わる。
- ●着弾スピード: v² = v0² − 2·μ_r·g·d でクッションごとの反発と合わせて減衰。 走る距離が長く・クッションが多いほど遅く着く (μ_r ≈ 0.01)。 ※2026-10-10 に μ_r を 0.05 から 0.01 に直した。0.05 は Dr. Dave の物性値の表 (球と布の転がり抵抗 0.005〜0.015) より約5倍強く、届くはずのルートを「届かない」として消していた。
- ●衝突後の手玉: 滑り→転がり後の速度を閉形式 (5/7)·v_衝突直後 + (2/7)·R·ω_top で算出し、 的玉と同じ転がりシミュレータで停止まで走らせる。 芯 (フルヒット) は的玉が (5/7)v、 手玉は (2/7)v のフォロー ── 90度ルール+押し引き。
- ●縦回転の距離減衰: 撞点の押し/引きは布の滑り摩擦で削られ自然転がりへ収束する。 滑走距離 d_skid ≈ 4·|s|·v0² / (7·μ_s·g) を超えると消える。 長距離・多クッションでは引きは残らない (Dr. Dave: 遅い/長いほどバックスピンは失われ前回転になる)。
- ●クッションの長短: クッションは球中心の上 (≈0.7球径) に当たるため縦回転が反射に結合する。 査読 (Mathavan 2010) では反射「角度」 自体は縦回転でほぼ不変・変わるのは速度。 実戦の「押しで長く・引きで短く」 はレール通過後のカーブが主因で、 本デモはその累積を反射点に集約した近似 (係数は調整可能・残存縦回転で減衰)。
- ●ミラー法は無回転・速度非依存の幾何基準として薄く表示。 横回転のスロウ、 速度依存 COR、 レール・スローバックは hit-point 系と共通の較正を流用。
参考文献
- Mathavan, Jackson & Parkin (2010) "Application of high-speed imaging to determine the dynamics of billiards" / cushion impact (IMechE Part C)
- Dr. Dave Alciatore: bank/kick effects, draw physics (billiards.colostate.edu)
- Marlow, W.C. "The Physics of Pocket Billiards" (1994)
- Shepard, R. "Amateur Physics for the Amateur Pool Player"