ネットショップ開業の流れと費用 ─ 準備から集客まで6ステップ
無料プランならツールの月額は0円から始められますが、決済手数料はカード払いで5.5%〜6.6%+1件40円。手数料・送料・梱包費を引いて利益が残る価格の決め方、開業資金の見積もり方、許認可と表示の決まりまでまとめました。

「ネットショップを開きたい」と思い立ってから、お客様が商品を買ってくれるまでには、いくつもの工程があります。全体の順番と、どこで時間とお金が掛かるかを先に知っておくと、途中で止まりにくくなります。
この記事では、開業の流れを 6 つのステップに分け、初期費用と月々の費用を 2026年10月時点の公式料金で整理します。開業資金の見積もり方、許認可、開店後の集客と日々の運営まで扱います。
開業までの全体の流れ ─ 6 ステップ
6 ステップで何が決まるか
| ステップ | やること | ここで決まること |
|---|---|---|
| 1. 構想 | 何を・誰に・いくらで売るか | 利益が残るかどうか |
| 2. ツール選び | どのサービスでお店を作るか | 月々の固定費と手数料 |
| 3. 決済・送料の設計 | お金と物の流れを決める | 客単価と利益率 |
| 4. 撮影・商品登録 | 売り場を作り込む | 買ってもらえるかどうか |
| 5. 開店 | 公開と最終チェック | 事故なく注文を受けられるか |
| 6. 集客 | お客様を集め続ける | 売上が続くかどうか |
時間の掛かり方には偏りがある
- ステップ 1〜3 は机の上で決める話で、作業より考える時間が要ります
- ステップ 4 がいちばん手を動かします。時間を取られるのはツールの設定より、商品写真の撮影と説明文の作成です
- ステップ 5 はチェック作業です
- ステップ 6 には終わりがなく、開店後もずっと続きます

ステップ1〜2 ─ 構想とツール選び
構想 ─ 「何を・誰に・いくらで」
3 点のうち、後から直しにくいのが価格です。値上げも値下げも、開店後にやると既存のお客様への説明が要ります。売価から次のものを引いても利益が残るかを、開業前に計算します。
「誰に」も先に決めます。同じ商品でも、買う人が変われば見せ方も価格帯も変わります。
ツール選び ─ 定番の分かれ道は 2 つ
| タイプ | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 無料プランのある国内サービス(BASE・STORES など) | 月額 0円で開店できる。手数料は高め | まず出して反応を見たい、商品数が少ない |
| 月額制のサービス(Shopify など) | 月額が掛かる。手数料は低めで、機能を足せる幅が広い | 規模を大きくしたい、業務の仕組みとつなげたい |
選ぶ目安は、今の商品数より 1 年後に見込む月商です。月商ごとにどのサービスがいくら掛かるかは Shopify・BASE・STORES 比較 で計算しています。Shopify がどういうサービスかは Shopifyとは? をどうぞ。
途中で乗り換えることもできますが、商品の登録し直しやデザインの作り直しが要り、その分の手間と費用が掛かります。最初から業務とつなげたい、決済や配送の要件が細かい場合は、月額制のサービスから入るほうが手戻りが少なくなります。
ステップ3〜4 ─ 決済・送料の設計と売り場づくり
決済 ─ 選択肢は 2〜3 種類
クレジットカードに加えて、コンビニ払いやスマホ決済など、お客様側の選択肢を 2〜3 種類用意するのが基本です。ただし払い方によって手数料が変わります。BASE は PayPay などで 1% 上がり、Shopify はコンビニ払いや PayPay に別の契約と取引手数料が要ります。用意する払い方を決めてから、手数料を計算します。
送料 ─ 利益を直接削る要素
| 決め方 | 良いところ | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 全国一律 | お客様に分かりやすい | 遠方の注文で自社負担が膨らみやすい |
| 地域別 | 実費に近づけられる | 表示が複雑になり、迷わせる原因になる |
| ◯円以上で送料無料 | 客単価が上がりやすい | ラインの置き方次第で利益が消える |
送料無料のラインは、平均の客単価より少し上、「もう 1 品買うと無料になる」価格帯に置くと、追加購入のきっかけにもなります。箱・緩衝材・テープも、1 件ごとに出ていく費用として計算に入れます。

撮影と商品登録
実物を手に取れない分、写真がそのまま売り場の印象になります。商品数が多い場合は、全部をそろえてから開店しようとせず、売れ筋の候補に絞って開店し、後から足していきます。
スマホで足りる場面と、プロに頼んだほうがよい場面の線引きは 写真はスマホで十分? 撮り方のコツ にまとめています。

商品説明に書いておくこと
- サイズ・素材・重さ・色味(写真と実物の差があれば、そこも書く)
- どんな場面で使うものか
- 発送までの目安と、在庫の考え方
- 手入れの方法や、使うときの注意
お客様に口頭で説明している内容を、そのまま書き起こすところから始めると書きやすくなります。書き出しで手が止まるときは 原稿の書き方 の型が使えます。
ステップ5〜6 ─ 開店、そして集客へ
開店前に、自分で一周する
- 自分の店で、実際に商品を買ってみる
- 注文確認メールの文面を読む(差出人の名前や返信先も見る)
- 梱包して送るところまで、実際にやってみる
- 返品・キャンセルの案内を読み返す
- スマートフォンでも同じ一周をする
3 番目で、梱包に掛かる時間や、箱が商品に合っているかが分かります。
表示を整える
ネット販売では、特定商取引法に基づく表記(事業者の情報、価格、送料、支払いの時期と方法、引き渡しの時期、返品の条件など)が要ります。2022年6月からは、注文を確定する前の最終確認画面にも、分量・価格・支払い・引き渡しの時期・申し込みの撤回や解除(返品)の条件などを表示する決まりになっています。返品の条件を書いていない場合は、商品を受け取ってから 8日以内なら、送料をお客様の負担として返品できる決まりが働きます(消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」)。
許認可が要る商材
扱う商材によっては、許可や届出、免許が要ります。代表的なものの要点です。最終的には各窓口で確かめます。
| 商材 | 要るもの | 窓口と公式の案内 |
|---|---|---|
| 食品 | 調理・製造や、包装されていない食肉・魚介類の販売などは営業許可。包装された食品の販売は営業届出。常温で長く保存できる包装食品だけを売る場合は届出も不要 | 管轄の保健所(厚生労働省「営業届出制度の創設と営業許可制度の見直し」) |
| 酒類 | ネットで 2 都道府県以上の消費者に売るなら「通信販売酒類小売業免許」。売れるのは輸入酒と、年間の出荷が 3,000キロリットル未満の国内の製造者の酒などに限られる | 税務署(国税庁「通信販売酒類小売業免許審査項目一覧表」) |
| 中古品 | 中古品を仕入れて売る営業には古物商許可。ネットで売る場合は、オンラインショップへの出店も含めて URL の届出が要る | 営業所を管轄する警察署の生活安全課(北海道警察「古物商許可申請要領」) |
古物商は、ホームページに氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を表示する決まりもあります(神奈川県警察の案内)。
公開直後の 30日でやることの順番は 公開後にやること ─ 最初の30日 にまとめています。
初期費用と月々の費用の内訳
ツールの料金(2026年10月時点)
| サービスとプラン | 月額 | カード払いの決済手数料 |
|---|---|---|
| BASE スタンダード | 0円 | 6.6%+1件40円(サービス利用料 3% を含む) |
| BASE グロース | 年払い 1か月 16,580円(税込)/月払い 19,980円 | 2.9% |
| STORES フリー | 0円 | 5.5% |
| STORES スタンダード | 年間契約 3,300円/月額契約 3,960円(税込) | 3.6% |
| Shopify Basic | 年払い 1か月 3,650円/月払い 4,850円 | 3.55%(国内カード) |
出典: BASE・STORES・Shopify の公式料金ページ(2026年10月時点。Shopify は税込か税別かの記載なし)。PayPay などの払い方では手数料が上がります。
そのほかの費用
| 項目 | 初期 | 月々 |
|---|---|---|
| 独自ドメイン | 取得費(種類と取得先で変わる) | 年ごとの更新費 |
| 撮影の小物(白い紙・布・小さな台) | 手元の物でも始められる | ─ |
| 梱包資材 | 最初にまとめて買う分 | 出荷量に応じて |
| 送料の自社負担分 | ─ | 出荷量と送料の決め方に応じて |
| 広告費(任意) | ─ | 掛けるかどうか、いくら掛けるかは自分で決める |
無料プランで始めれば、ツールの初期費用と月額は 0円です。有料プランは、無料プランで困ったところが分かってからでも遅くありません。ただし、月額 0円のプランほど手数料は高いので、売れるほど差が開きます。
1 商品ごとの利益の出し方
売価から順に引いていくと分かりやすくなります。例えば売価 3,000円の商品を BASE の無料プランで売ると、決済手数料は 3,000円 × 6.6% + 40円 = 238円です。
- 売価から、仕入れ・材料費を引く
- そこから、決済手数料を引く
- そこから、送料の自社負担分を引く
- そこから、梱包資材の費用を引く
- 残ったものが利益です
この計算を 1 回しておくと、送料無料のラインも、広告に掛けられる上限も、数字で決められます。
ショップとは別に会社・事業の紹介サイトを持つ場合の費用感は ホームページ制作の費用相場、実店舗があってネットショップを足す形なら 小売店のホームページ・ネットショップの始め方 と 小売店・ネットショップ向けのページ が参考になります。
開業資金はどう見積もる? ─ お店を作る費用の外にあるお金
開業のときに手元に要るお金は、上の表の初期費用だけではありません。お店を作る費用は小さくできても、商品と運転のお金は小さくできないからです。
開業資金の 4 つの箱
| 箱 | 何のためのお金か | 見積もり方 |
|---|---|---|
| 1. お店を作る費用 | ツール・ドメイン・撮影の小物・梱包資材 | 上の表の初期費用 |
| 2. 最初の在庫 | 開店時に並べる商品の仕入れ・材料 | 売れ筋候補に絞った点数 × 1 点あたりの原価 |
| 3. 入金までのつなぎ | 売上が振り込まれるまでに出ていく仕入れ・送料・梱包費 | 支払いが先に来る期間の分 |
| 4. 集客の取り分 | 開店後の広告・撮影・販促 | 最初から別枠にしておく |
売上は、すぐには手元に入らない
売上は、お客様が払った瞬間に自分の口座へ入るわけではありません。例えば BASE は振込を申請してから 10営業日で入金、STORES は売上が 1万円以上なら月末締め・翌月末に振り込まれ、振込のたびに 275円が掛かります(各社の公式料金ページ)。一方で、仕入れ・送料・梱包資材の支払いは先に来ます。売れ始めた時期ほど、売れているのに手元のお金が減る状態になりやすいので、3 番の箱には余裕を持たせます。
開業の手続きと、補助金
個人で始める場合は、税務署へ開業の届出を出すのが基本です。青色申告を選ぶ場合の申請の期限も含めて、手続きは国税庁の案内で今の内容を確かめます。
お店づくりの費用は、制度によっては補助金の対象になる場合があります。代表的な小規模事業者持続化補助金の流れは 持続化補助金でホームページを作る にまとめています。補助金は後払いが基本なので、ここでも先に払えるお金が要ります。
開店後の集客
自社のネットショップには、ショッピングモールのような「通りがかり」のお客様がいません。開店直後にアクセスがほとんど無いのは、お店の出来とは関係なく、誰でも同じところから始まります。

集客の 3 本柱
| 手段 | 費用 | 効き方 | 相性の良い商材 |
|---|---|---|---|
| SNS(Instagram・X など) | 0 円から | 続けるほど効く | 世界観が伝わる商材 |
| 検索対策(SEO) | 主に手間 | 遅いが資産になる | 商品名や悩みで探される商材 |
| ネット広告 | 掛けた分だけ | 早いが掛けた月しか効かない | 利益率の取れる売れ筋 |
検索対策の考え方は 中小企業のためのSEO入門、SNS とサイトの役割分担は ホームページとSNSどっちを先にやるべき? にまとめています。
1 つに絞って続ける
開業直後に 3 本柱を同時に回すのは負担が大きいので、1 つを選んで続けられる形にします。
- 商品の見た目で伝わるものなら、まず SNS を 1 つに絞る
- 探されて買われるものなら、商品説明を丁寧に書くところから検索対策を始める
- 実店舗があるなら、Googleビジネスプロフィールの登録 を先に済ませる
開業予算は開店までに使い切らず、集客に回す分を最初から取り分けておきます。お金だけでなく、毎週どこで投稿や撮影の時間を取るか、誰がやるかも先に決めておくと続きます。
開店後の運営の流れ ─ 1 件の注文で起きること
注文から発送完了まで
- 注文の通知を受け取る ── 通知メールが迷惑メールに入らないか、開店前に確かめておきます
- 支払いを確かめる ── カード払いはその場で済みますが、コンビニ払いや振込は入金を待ってから次へ進みます
- 梱包する ── 商品・納品書・緩衝材。同梱するお礼状などもここで入れます
- 発送して、発送の連絡をする ── 追跡番号を入れて、お客様に知らせます
- 在庫の数を直す ── 店頭でも売っている場合は、ここがずれやすいところです
- 問い合わせと返品に答える ── 届いた後の質問や、破損・交換の相談に対応します
やる時間を先に決める
1 件ずつは小さな作業でも、毎日となると本業の時間を削ります。やる時間を決めて、まとめて処理する形にします。
- 発送は 1 日 1 回、決まった時刻までの注文をまとめて出す
- 「◯時までのご注文は当日発送」のように、ページにも書いておく
- 問い合わせへの返事も、見る時間を決めておく
発送の目安をページに書いておくと、「いつ届きますか」という問い合わせが減ります。質問の窓口を LINE にまとめる方法は LINE公式アカウントとホームページの連携 で説明しています。
数字は月に 1 回見る
運営が回り始めたら、月に 1 回、売上・注文数・どこから来たお客様かの 3 つを見ます。見る場所と読み方は ホームページのアクセス数の見方 が、ネットショップにもそのまま使えます。
まとめ ─ 開店はゴールではなくスタート
開業の前に、次の 6 点を確かめてください。
- 手数料・送料・梱包費を引いて、利益が残る価格になっているか
- ツールを、1 年後に見込む月商で選んだか
- 用意する払い方と送料の決め方、送料無料のラインを決めたか
- 扱う商材に、許可・届出・免許が要らないか窓口で確かめたか
- 特定商取引法の表記と、最終確認画面の表示を整えたか
- 開業資金を 4 つの箱に分け、集客に回す分を取り分けたか
LIT STUDIO では、Shopify でのネットショップ構築を 398,000円〜で承っています。料金の内訳は 料金ページ に載せています。何から決めればいいか分からない段階のご相談も お問い合わせ からどうぞ。
よくある質問
Q.ネットショップの開業に最低いくら必要ですか?
Q.開業までどのくらいの期間がかかりますか?
Q.開業に資格や届出は必要ですか?
Q.開店したのにアクセスがほとんどありません。失敗でしょうか?
Q.ネットショップの開業資金は、お店を作る費用だけ用意すれば足りますか?
Q.開店後の運営は、毎日どんな作業がありますか?
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