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ホームページ制作会社の選び方 ─ 失敗しない7つのチェックポイント

「作って終わり」の依頼先を避けるために。実績の見方・見積もりの比べ方・著作権とドメインの確かめ方など、判断の基準を7つに絞り、契約前に使える質問リストを付けました。

複数の制作会社の名刺を並べて見比べている事業主

ホームページ制作の失敗の多くは、デザインの出来より前、依頼先を選ぶ段階で防げます。この記事では、起きやすい失敗の形と、それを防ぐ 7 つのチェックポイント、契約前にそのまま使える質問リストをまとめます。中でも、サイトの著作権とドメインの名義(チェックポイント 4・5)は、ほかのどの点よりも先に確かめてください。

よくある失敗 3 パターン

起きやすい失敗の形として、次の 3 つがあります。7 つのチェックポイントは、この 3 つを防ぐためのものです。

失敗1: 完成後に連絡がつかなくなった

公開後の小さな修正をお願いしたら、返事が来ない。電話番号の変更が直らず古い番号が載り続ける、求人の締め切りが過ぎてもページが消えない、担当者が辞めて誰に連絡すればよいか分からない、といった形で表に出ます。原因は、修正の窓口・費用・返答の目安を契約のときに決めていなかったことです。

失敗2: 解約したらサイトが消えた

月額制の契約を解約したら、サイトのデータもドメインも制作側のものだった、という失敗です。払った制作費だけでなく、検索で積み上げてきた評価もまとめて失います。

月額制そのものが悪いわけではありません。ただ、月額で払う形の中にはリース契約を使うものもあります。リース事業協会は、ホームページを対象にしたリース取引で問題事例が出ているとして、リース契約は途中で解約できないことを利用者に確かめる手順を定めています(リース事業協会「小口リース取引に係る問題事例の解消を目指して」2008年)。月額制の仕組みは 月額0円・格安ホームページのカラクリ で詳しく書いています。

解約後、何も映らなくなった画面の前で途方に暮れる事業主
解約と同時にサイトもドメインも消える。契約で権利と名義を確かめていれば防げた失敗です

失敗3: 立派なサイトができたが、問い合わせが来ない

デザインも写真も文章も整っているのに、誰にも見つけてもらえない、という失敗です。検索対策や公開後の改善が、そもそも計画に入っていないと起きます。原因の切り分けは 問い合わせが来ない5つの原因 にまとめています。

3 つの失敗と、防ぐチェックポイントの対応

失敗起きやすい場面防ぐチェックポイント
失敗1: 音信不通公開後の関係を決めずに契約したとき6(公開後のプラン)・7(やり取り)
失敗2: サイトが消える月額制の契約を解約したとき4(著作権とデータ)・5(ドメインの名義)
失敗3: 作って終わりデザインの印象だけで選んだとき1(実績)・3(目的を聞くか)・6(公開後のプラン)

ほかの失敗の形は ホームページ制作でよくある失敗6パターン にも書いています。

チェックポイント 1〜3 ─ 実績と見積もりの見方

最初の 3 つは、実績ページ・最初の見積もり・最初の打ち合わせで確かめられます。

1. 実績に「自分と近い規模・業種」があるか

実績ページで見るのは、有名企業の名前ではなく、自分と同じくらいの規模の会社の事例があるかです。

  • 自分と同じくらいの従業員数・店舗数の会社があるか
  • 自分の業種、または近い業種(例: 工務店なら建設・リフォーム)があるか
  • 事例に「何のために作り、どうなったか」まで書いてあるか

業種ごとに「何を載せると選ばれるか」は違います。建設・工務店なら 施工事例で選ばれるサイトの作り方 のように、自分の業種の記事を先に読んでおくと、実績の見方がはっきりします。

2. 見積もりに内訳があるか

「ホームページ制作一式 ◯◯万円」の一行見積もりは、後から「それは別料金です」と言われる元になります。

見るところ一行見積もり(一式)内訳のある見積もり
何ページ作るのか分からないページ数と構成が書いてある
原稿・写真は誰が用意するか分からない「お客様支給」「制作側で作成(◯円)」と分かれている
CMS(お知らせを自分で更新できる仕組み)の有無分からない項目として書いてある
追加ページを頼んだとき「別料金です」になりやすい単価から見当が付く
他社と比べられるか総額しか比べられない項目ごとに比べられる

項目の意味は 見積書の見方 ─ 項目の意味と「一式」の危険性 で、費用の全体像は 費用相場の記事 で説明しています。

一行だけの見積書と、内訳が並んだ見積書を見比べている事業主
総額が同じでも、内訳があるかどうかで後から起きることが変わります

3. 「何のために作るか」を聞いてくるか

「そのページ、本当に必要ですか」「その目的なら、こちらの構成のほうが合います」といった言葉が最初の打ち合わせで出てくる相手は、公開後の成果まで考えています。反対に、目的を聞かずにいきなりページ数と金額の話になる、「他社さんもこの構成です」と型に当てはめる、要望に一度も「それは要らないと思います」と言わない、といった進み方なら、目的をこちらから伝えて反応を見てください。

チェックポイント 4〜5 ─ 著作権とドメインの落とし穴

この 2 つを外すと、失敗2(解約したらサイトが消えた)がそのまま起きます。

4. サイトの著作権とデータはどうなるか

サイトのデータは形のある「物」ではないので、法律上の所有権の対象になりません(民法 第 85 条)。契約で決めるのは、デザインや文章・プログラムの著作権の扱いと、データを受け取れるか(納品物)です。著作権は、何も決めなければ作った側に残ります。

確かめる点は次のとおりです(著作権法)。

  • 著作権を譲り受ける場合 ── 譲渡の書面に、第 27 条(翻案など)と第 28 条(二次的著作物の利用)の権利も譲ると書いてあるかを見ます。書いていないと、この 2 つは作った側に残ると推定されます(第 61 条 第 2 項)。サイトに手を加える作業はこの権利に関わることがあるので、他社に手直しを頼めるかに効きます
  • 著作者人格権 ── 作った人の名前を出す権利や、勝手に変えられない権利は、譲ることができません(第 59 条)。手直しで困らないよう、「著作者人格権を行使しない」という一文を入れるのが一般的です
  • 譲渡ではなく「使ってよい」という許可の場合 ── 手直しや他社への引き継ぎまで、許可の範囲に入っているかを見ます
  • 譲渡から外れる部分 ── テンプレートや、制作側が他の案件でも使う部品、有料の写真素材は外れるのが普通です。その部分をどこまで使えるかも書いてあるかを見ます

条文の書き方が自社に合っているかは、弁護士に確認してください。契約書のほかの見どころは 契約書・発注書で見る項目 にまとめています。

5. ドメインを自社名義で取れるか

ドメイン(「◯◯.jp」などの住所)は、検索の評価が積み上がっていく事業の資産です。制作側の名義で取得されると、解約時に持ち出せないことがあります。「ドメインはこちらの名義で取得できますか」と聞き、既にドメインを持っているなら、移管(名義や管理先を移すこと)に応じてもらえるかも聞きます。

誰の名義か解約したとき他社へ引っ越すとき
自社名義ドメインは手元に残る引っ越し先に管理先を移せる
制作側の名義(移管に応じる)手続きすれば返してもらえる移管の手続きが要る
制作側の名義(移管に応じない)ドメインごと失う新しい住所で一から育て直し

仕組みは ドメインとサーバーとは? で、引っ越しの手順は 制作会社の乗り換え方 ─ データとドメインを守る手順 で説明しています。

制作者から鍵と書類の束を受け取る事業主
納品と同時に、データと住所(ドメイン)の鍵が自分の手に渡る形にしておきます

チェックポイント 6〜7 ─ 公開後と相性

残りの 2 つは、公開後も付き合える相手かを見るポイントです。

6. 公開後のプランが具体的か

「公開後はどうなりますか」と聞いて、次の 4 点に具体的な答えが返ってくるかを見ます。

聞くこと具体的な答えの例確かめたい答え
保守費に何が含まれるか「サーバー・ドメインの更新と、月◯回までの文章修正です」「一通り見ています」
含まれない作業の単価「ページ追加は 1 ページ◯円、細かい修正は 1 時間◯円です」「その都度お見積もりです」
検索順位をどう確認するか「Google の無料ツールで一緒に見ます」「上がると思います」
誰が窓口になるか「担当は私で、不在時は◯◯が受けます」「メールをいただければ」

右の列の答えが返ってきたら、もう一歩具体的に聞いてみてください。保守費の相場と「保守なし」で運用できる条件は 維持費・管理費は月いくら? に、公開直後にやることは 公開後 30 日のチェックリスト にあるので、どこまで含まれるかを聞く材料に使えます。

7. 説明が分かりやすいか・やり取りが続けられるか

制作中は何十回もやり取りします。見積もりの段階のやり取りの速さと分かりやすさは、制作中を考える材料になります。相見積もりでは、金額だけでなく次の点も各社で見比べておくと判断しやすくなります。

  • 質問の返事が、何日も空かずに返ってくるか
  • 専門用語を使ったあと、言い換えてくれるか
  • 「分からない」と言ったとき、説明し直してくれるか
  • 決めるべきことを、相手から先に出してくれるか
制作者が手描きの図で説明し、事業主がうなずいている打ち合わせ
専門用語を図に置き換えて説明できる相手なら、制作中のやり取りも楽です

フリーランスと制作会社のどちらに頼むかで迷っている場合は、フリーランスと制作会社どっちに頼む? で体制とリスクの違いを比べています。

問い合わせる前に、相手のホームページで確かめられること

制作側のホームページは、その仕事ぶりを見られる一番身近な見本です。次の 6 か所を見ておくと、候補を絞れます。

見る所確かめること気になるサイン
運営者の情報会社名や屋号・代表者・所在地・連絡先が載っているかフォームしか無く、誰が運営しているか分からない
料金目安の金額か、金額の決まり方が書いてあるか金額も考え方も無い(最初の問い合わせで聞く)
実績公開中のサイトへのリンクがあるか画像だけで、どこのサイトか確かめられない
お知らせ・コラム更新が止まっていないか最後の更新が何年も前のまま
自社サイトの作りスマホで読みやすいか、表示に時間が掛からないか自社のサイトがスマホで崩れている
公開後の説明保守の中身やデータの扱いに触れているか公開後の話がどこにも無い

実績にリンクがあれば、公開中のサイトを自分のスマホで開いてみてください。文字の大きさとボタンの押しやすさ、問い合わせや電話の入口がすぐ見つかるか、お知らせが更新されているか(納品後も使われているサイトか)が分かります。スマホでの見え方の基準は スマホ対応とレスポンシブの解説 にまとめています。

小さな制作スタジオ・個人の制作者に頼むとき

小さな制作事務所や個人の制作者も、依頼先の選択肢です。打ち合わせの相手がそのまま作る人であることが多い一方、体制が小さいぶん、次の点は大きな会社以上に確かめておく価値があります。

チェックポイント小さなスタジオ・個人で特に見ること
1(実績)載っている実績を、そのスタジオ自身が作ったか
4・5(著作権とドメイン)体制が小さいほど、契約書に書いておくことがそのまま備えになる
6(公開後のプラン)窓口が 1 人のとき、休みや病気の間の連絡方法
7(やり取り)忙しい時期の返信の目安

撮影や大量の原稿、複雑な機能など、小さな体制では外部と組むか受けていない作業があります。「それは受けていません」「そこは協力先に頼みます」と最初に言える相手は、見積もりの後から別料金が出にくくなります。候補の見つけ方は 札幌のホームページ制作会社の探し方 にまとめています。

契約前に聞くべき質問リスト

7 つのチェックポイントを、そのまま聞ける形にした 8 問です。打ち合わせやメールで使ってください。

  1. 見積もりの内訳を項目ごとに教えてください(確かめる点: 2)
  2. 原稿と写真はどちらが用意しますか。依頼する場合の追加費用は(2)
  3. 公開までの流れと、こちらがやるべき作業を教えてください(7)
  4. 納品後、サイトのデータを渡してもらえますか。著作権は、第 27 条・第 28 条の権利も含めて譲ってもらえますか。譲渡でない場合は、手直しや引き継ぎまで使えますか(4)
  5. ドメインは当社名義で取得できますか(5)
  6. 公開後の修正は 1 回いくらですか。保守プランには何が含まれますか(6)
  7. 途中で解約した場合、それまでの成果物はどうなりますか(4)
  8. 検索で見つけてもらうために、何をしてもらえますか(3・6)

答えの中身と同じくらい、具体的に分かりやすく答えてもらえるかが判断の材料になります。

相見積もりは 2〜3 社が現実的です。それ以上取ると比べる軸がぶれて、かえって選べなくなります。「何ページ・誰が原稿を書く・公開後の修正費」を同じにして、各社に同じ 8 問を投げてください。原稿や写真を先に揃えておくと比べやすくなり、制作も早く進みます。準備は 発注前の準備リスト に、写真をスマホで揃えるコツは 写真はスマホで十分? にまとめています。

まとめ ─ 一番の判断材料は「説明の分かりやすさ」

  • 実績に、自分と近い規模・業種の事例がある
  • 見積もりに内訳があり、原稿・写真の担当がはっきりしている
  • 最初の打ち合わせで「何のために作るか」を聞かれた
  • 契約書で、データの納品と著作権の扱い(第 27 条・第 28 条を含む譲渡か、手直しまで使える許可か)が決まっていて、ドメインは自社名義で取れる
  • 公開後の保守内容・修正費・窓口を具体的に答えられた
  • 説明が分かりやすく、返信が早い

この記事の基準は、LIT STUDIO(札幌の個人の Web 制作スタジオ)にもそのまま当てはめて確かめてください。上の 8 問には 相談の場 でお答えします。料金は 料金ページ に載せています。

よくある質問

Q.相見積もりは何社くらい取るべきですか?
2〜3社が現実的です。比べるときは総額ではなく、ページ数・原稿を書く人・公開後の修正費を揃えてください。
Q.フリーランスと制作会社、どちらに頼むべきですか?
費用を抑えて作る本人と直接やり取りしたいならフリーランス、体制の安定を求めるなら制作会社が向きます。どちらでも、データの納品・著作権の扱い・ドメインの名義を契約で確かめることが前提です。
Q.ドメインは自分で取ったほうがいいですか?
可能なら自社名義での取得をおすすめします。制作側の名義だと、契約をやめたときにドメインを持ち出せないことがあります。既に制作側の名義で取られている場合は、移管に応じてもらえるかを確認してください。
Q.「著作権は納品時に移る」と契約書に書いてあれば安心ですか?
それだけでは足りないことがあります。著作権法では、翻案など(第27条)と二次的著作物の利用(第28条)の権利も譲ると書いていないと、その2つは作った側に残ると推定されます(第61条第2項)。著作者人格権を行使しない一文があるかも見てください。条文の書き方は弁護士に確認してください。
Q.月額制のホームページ契約で気を付けることは?
最低契約期間、解約したときにデータとドメインが手元に残るか、月額に何が含まれるかを確かめます。リース契約を使う形は途中で解約できないのが原則なので、契約書の名前と期間を必ず見てください。

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