フリーランスと制作会社どっちに頼む? 費用・体制・リスクを比較
「フリーランスは安いが不安、制作会社は高いが安心」ほど単純ではありません。金額差の正体、どちらを選んでも困らない「3つの備え」、フリーランスに頼むときの法律と税金の要点を整理しました。

ホームページを外注するとき、フリーランス(個人で仕事を請ける人)と制作会社のどちらに頼むかで迷う方は多いと思います。「フリーランスは安いが不安、制作会社は高いが安心」と言われますが、実際の違いはもう少し細かく分けて見る必要があります。
先に答えを書くと、金額の差は主に人件費と間接費の構造から来ていて、品質と継続性の弱点は依頼先ごとに違う所に出ます。どちらに頼む場合も、ドメインの名義・データの納品・構成メモの 3 つを確保しておけば、連絡が途絶えても困りません。フリーランスに頼む場合は、発注する側に法律上の義務があることも知っておく必要があります。
フリーランスと制作会社の違い 早見表
同じ 5〜10 ページ程度の会社サイトを想定した、一般的な傾向の比較です。
| 比較軸 | フリーランス | 制作会社 |
|---|---|---|
| 費用の目安 | 制作会社より下がることが多い | 30〜100 万円程度(下の調査を参照) |
| 窓口 | 本人と直接 | 営業・ディレクター経由 |
| 品質の振れ幅 | 人による差が大きい | 社内の手順で揃いやすい |
| スピード | 早いことが多い | 工程管理の分、時間がかかりがち |
| 継続性のリスク | 廃業・多忙・音信不通 | 倒産・担当者の異動 |
| 得意分野 | 本人のスキル次第 | 分業で幅広い |
制作会社の費用は、Web幹事の発注データで、コーポレートサイトの中央値が 50.0 万円・平均が 95.6 万円、半数が 50 万円以下です(2026年10月時点の公開値、Web幹事「コーポレートサイトの費用と料金相場」)。フリーランスに直接頼んだ場合の金額をまとめた公開調査は見当たらないので、こちらは「下がることが多い」という程度に見てください。

費用の違い ─ 安さには理由がある
制作会社では、営業・ディレクター・デザイナー・エンジニアと役割ごとに人が付き、オフィス代や営業の人件費などの間接費も見積もりに乗ります。フリーランスは設計から実装まで 1 人で担当し、間接費がほぼ無いので、同じ作業でも見積もりが下がります。安いことは、それだけで手抜きの印ではありません。
一方、制作会社に払う費用には、担当者が辞めても会社として制作物と契約が残る、という継続性の分も含まれています。数年単位で付き合う前提なら、この分の価値は大きくなります。
安い見積もりほど「含まれない作業」を確かめる
次の 3 つが別料金かどうかで、最終的な総額は大きく変わります。
- 原稿作成(会社概要やサービス説明の文章を誰が書くか)
- 写真撮影(店舗や商品の写真を誰が用意するか)
- 公開後の修正(公開してから直す作業が何回まで含まれるか)
フリーランスと制作会社の両方から見積もりを取って構いません。比べるときは、ページ数・原稿を書く人・公開後の修正費を同じ条件に揃えてから並べます。内訳の見方は 費用相場の記事 で、原稿を自社で書く場合の型は 原稿の書き方の記事 で説明しています。
体制の違い ─ 「直接話せる」か「分業で安定」か
フリーランスの良さは、作る本人と直接話せることです。打ち合わせで話した相手がそのまま作る人なので、意図が伝わりやすく、小回りも利きます。一方で、デザインは得意だが文章は苦手、といったスキルの偏りは出ます。
制作会社では、ディレクター(進行役)が窓口に立ち、デザイナーやエンジニアが分業で進めます。品質は揃いやすい反面、話した相手と作る人が違うことによるずれ、確認の往復の時間、担当が変わったときのやり直しが起こり得ます。

受けた仕事を外部のフリーランスに出す制作会社もあります。それ自体は普通の商習慣ですが、気になる場合は「実際に制作を担当するのはどなたですか」「公開後の修正や相談は、どなたが窓口になりますか」と聞いてみてください。
品質と納期 ─ 「ぶれる所」が違う
品質も納期も、どちらが上かより、どこでぶれるかが違います。
| 工程 | フリーランス | 制作会社 |
|---|---|---|
| デザイン・実装 | 本人の得意分野なら強い。苦手な分野は落ちやすい | 社内の型や手順があり、揃いやすい |
| 文章・写真 | 担当しないか、本人の得意次第 | 専門の担当や外部の協力者がいることがある |
| 公開前の確認 | 作った本人が確認するので、見落としが出やすい | 別の人が確認する体制の会社もある |
| 納期が延びる原因 | 病気や他の案件との重なりで全体が止まる | 担当の交代や社内の確認で 1 往復が長くなる |
公開前の確認は見落とされがちです。作った本人は「こう動くはず」と思って見るので、自分の見落としに気付きにくくなります。フリーランスに頼む場合は、公開前に依頼する側も一緒に確認すると決めておくと差が縮まります。
どちらに頼んでも、いちばん多い遅れの原因は、依頼する側の原稿・写真の準備待ちです。工程ごとの期間は 制作の流れと期間 で説明しています。
契約の前に、次の 3 つを聞いておくと、品質と納期のぶれが見えます。
- 公開前の確認は、誰が・どの端末で・何を見ますか
- 文章・写真・検索対策のうち、担当しないものはどれですか
- 工程ごとの予定表(デザイン案が出る時期・確認の期限・公開の時期と、こちらがいつまでに何を出すか)をもらえますか
一番の不安「連絡が途絶えたら」への備え
病気・多忙・廃業などで連絡が取れなくなる心配は、フリーランスに限らず、制作会社でも倒産や事業撤退で同じように起こり得ます。大事なのは、起きたときに自分のサイトを守れるかを先に決めておくことです。
備え 1: ドメインとサーバーは自社名義にする
ドメイン(サイトの住所)とサーバー(サイトを置く土地)が相手名義だと、連絡が取れなくなった時点で更新も移転もできなくなります。「うちで取っておきますね」と言われても名義だけは自社にし、更新料の支払いも自社のカードや口座にしておくと、止まる心配が減ります。仕組みは ドメインとサーバーの基礎記事 で説明しています。
備え 2: データ一式の納品を書面に書く
何が納品されるか(ファイル一式か、管理画面のログインだけか)と、納品のタイミング(公開時か、支払い完了時か)を書いておきます。納品されたデータは、自社のパソコンやクラウドに控えを置きます。契約書のどこを見ればよいかは 契約書・発注書で見る項目 にまとめています。
備え 3: 構成メモをもらう
使っているサーバー・ドメインの管理会社とログインする場所、サイトを作ったツール(WordPress など)と追加した機能、お知らせの追加など日常の更新のやり方。A4 用紙 1 枚程度で十分です。

この 3 つに応じてもらえない相手は、フリーランスでも制作会社でも避けたほうが安全です。起きやすい失敗の形は よくある失敗の記事 に、すでに困っている場合の移し方は 乗り換えの手順の記事 にまとめています。
フリーランスに頼むときの法律と税金
フリーランスに頼む場合は、発注する側にも決まりがあります。要点だけ挙げます(2026年10月時点)。
フリーランス新法(2024 年 11 月 1 日施行)
正式な名前は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です(e-Gov 法令検索、公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。この法律の「フリーランス」は、従業員を使わずに仕事を請ける個人や、一人社長の法人です。
- 取引条件の明示(第 3 条) ── フリーランスに仕事を頼んだら、すぐに、業務の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメール等で示す必要があります。発注する側に従業員がいるかどうかに関係なく、すべての事業者の義務です
- 60 日以内の支払い(第 4 条) ── 従業員を使っている事業者(法人なら役員が 2 人以上いるか、従業員を使っている場合)は、納品を受けた日から 60 日以内のできるだけ短い期間で支払期日を決め、その日までに支払う必要があります
消費税のインボイス
インボイス(適格請求書)の登録をしていない相手からの仕入れは、消費税の仕入税額控除が一部しか受けられません。控除できる割合は、2026 年 10 月 1 日から 2028 年 9 月 30 日までが 70%、その後 2030 年 9 月 30 日までが 50%、2031 年 9 月 30 日までが 30% です(国税庁 問113-3)。見積もりを比べるときは、相手が登録しているかも確かめておくと、税込の実質の負担を比べられます。
個人に払うデザイン料の源泉徴収
個人に払う「デザインの報酬」は、源泉徴収の対象になる場合があります(国税庁 所得税基本通達 204-7)。ホームページの代金が当たるかは、デザインと実装の分け方など中身によります。
法律に当てはまるかは弁護士に、税の扱いは税理士に確認してください。
補助金を使う場合
小規模事業者持続化補助金の第 20 回公募要領では、依頼先を会社か個人かで分けてはいません。ただし、開業していない個人からの購入や、代表者・役員の 3 親等以内の親族への発注、交付決定の前に発注・契約・支払いをしたものは対象外です。見積書・請求書・領収書などの経理書類を用意できることも条件です(2026年10月時点、第20回公募要領)。補助金を使う予定があるなら、相手が開業している事業者か、その書類をそろえてもらえるかを先に確かめます。
フリーランスが向くケース・制作会社が向くケース
| 状況 | 向いている依頼先 |
|---|---|
| 予算を抑えて、まず形にしたい | フリーランス |
| 作る本人と直接やり取りしながら、小回りよく進めたい | フリーランス |
| 腕と人柄をある程度知っている相手がいる(知人の紹介など) | フリーランス |
| ページ数が多い、予約や検索機能があるなど、規模や機能が大きい | 制作会社 |
| 社内に詳しい人がおらず、丸ごと任せたい | 制作会社 |
| 数年単位で運用する前提で、会社として続く相手が必要 | 制作会社 |
フリーランスを選ぶなら、過去の実績に自社と近い規模・業種のサイトがあるか、3 つの備えに応じてくれるかを見ます。実績ページの見方は 制作会社の選び方 で説明していて、肩書きに関係なく同じ見方で確かめられます。

両者の境目は薄くなりつつあります。AI を使って少人数で制作する事業者や、組織化して弱点を補うフリーランスのチームもあります。肩書きより、中身で判断するほうが確かです。AI を使う制作で何が安くなり何が変わらないかは AI を使った制作はなぜ安いのか にまとめています。
依頼先を決めるまでの 4 つの手順
- 自社の条件(予算・ページ数・原稿と写真の用意・公開後の更新担当)を書き出す
- フリーランス・制作会社の両方から、同じ条件で見積もりを取る
- 打ち合わせで「実際に作るのは誰か」と「3 つの備え」への対応を聞く
- 実績が自社と近いかを見て、備えに応じてくれた相手の中から選ぶ
まとめ ─ 肩書きではなく「備え」で選ぶ
- 金額の差は、人件費と間接費の構造から来ている
- 見積もりは、ページ数・原稿を書く人・公開後の修正費を揃えて比べる
- 「実際に制作を担当するのは誰か」を聞く
- ドメインとサーバーは自社名義、データ一式の納品と構成メモは書面に書く
- フリーランスに頼むなら、取引条件を書面かメールで示す(フリーランス新法)。インボイスの登録の有無も確かめる
- 「フリーランスだから不安」「会社だから安心」ではなく、備えに応じてくれる相手かで選ぶ
LIT STUDIO は、AI との共同開発で、井手 和弥がひとりで制作している札幌の個人の Web 制作スタジオです。ホームページは 50,000 円〜(5 ページまで)で、料金は 料金ページ に載せています。札幌近郊での探し方は 札幌での制作会社の探し方 も参考にしてください。判断に迷う点があれば、相談フォーム からどうぞ。
よくある質問
Q.フリーランスに頼むのは危険ですか?
Q.フリーランスに頼むとき、発注する側が守る決まりはありますか?
Q.インボイスに登録していないフリーランスに頼むと、何が変わりますか?
Q.フリーランスに頼んでも、補助金は使えますか?
Q.途中でフリーランスから制作会社に切り替えられますか?
Q.制作会社のほうが品質は高いのですか?
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