ホームページ制作会社の乗り換え方 ─ データとドメインを守る手順
制作会社は乗り換えられます。ただし順番を間違えると、データやドメインを持ち出しにくくなります。「確認→確保→通告」の順番、名義の変更と移管が別の手続きであること、続けるかやめるかの比べ方をまとめました。

「修正を頼んでも返事が遅い」「毎月払っているのに何をしてもらっているか分からない」。今の制作会社に不満があれば、別の会社に乗り換えることはできます。
ただし、確かめる前に解約を伝えると、データやドメインを持ち出しにくくなることがあります。この記事では、「確認 → 確保 → 通告」の順番で、何を確かめ、どう手続きするかを説明します。
乗り換えるかの判断 ─ 不満は「対応」か「サイトの中身」か
不満の原因が対応の質なら乗り換え、サイトの中身なら、まず今の会社にリニューアルを相談する、というのが大まかな分かれ目です。
| よくある不満 | 乗り換えで解決するか | 先にやること |
|---|---|---|
| 連絡が遅い・返ってこない | 解決する | 一度は改善を求める。変わらなければ乗り換えを考える |
| 月額に見合う作業が分からない | 解決することが多い | 保守の作業の明細を出してもらう |
| 修正のたびの請求が高い | 内容による | 何にいくら掛かっているか、内訳を出してもらう |
| デザインを変えたいだけ | 解決しないことが多い | 今の会社にリニューアルを相談する |
改善を求めても変わらなかったなら、乗り換えを考えてよい状態です。ここから先は手順の話になります。

最初に確かめる3つ ─ ドメイン・著作権とデータ・ログイン
解約を切り出す前に、次の3つを確かめます。データは作り直せても、ドメインを失うと、名刺やチラシに刷った URL も、積み上げた検索の評価も戻りません。
| 確かめるもの | 確かめ方 | 持ち出せないとどうなるか |
|---|---|---|
| ドメイン(◯◯.jp などの住所) | 登録者の名義と、管理している業者。WHOIS などで調べる | URL が変わり、検索の評価もやり直し |
| 著作権とデータ | 契約書の著作権・納品物・解約後の条項 | 同じサイトを新しい会社で直せない、作り直し |
| サーバーと管理画面のログイン | 自社で実際に入れるか試す | データがあっても自分で触れない |
ドメインとサーバーの違いはドメインとサーバーの基礎で説明しています。
ドメインの名義の調べ方
ドメインの登録者は、公開されている登録情報で調べられます。
- ◯◯.jp などの JP ドメインは、JPRS WHOIS で調べられます。登録者名が表示されないこともあります
- ◯◯.com などは、ICANN Lookup で調べられます。2025年1月から RDAP という仕組みが正式な調べ先になり、登録者の個人の情報は伏せて表示されることが多くなっています(ICANN)
名前が出ない場合は、契約書や契約当時のメールで「誰の名前で取ったか」を確かめてください。
◯◯.co.jp は、日本国内で登記している会社しか登録者になれず、原則1社に1つです(JPRS「種類と対象」)。そのため co.jp では、登録者が制作会社になっていることは原則なく、問題になるのは「どの業者の、誰のアカウントで管理されているか」です。
著作権とデータは分けて確かめる
データのファイルをもらえても、著作権が制作会社に残っていれば、新しい会社で作り替えてよいとは限りません。逆に著作権が移っていても、ファイルを渡す約束が無ければ手元に来ません。
著作権については、契約書の書き方も見ます。著作権法61条2項では、譲渡の契約で27条(作り替える権利など)と28条の権利をはっきり書いていないと、この2つは譲った側に残ると推定されます。また著作者人格権は譲れない(59条)ので、「行使しない」という一文があるかも確かめます。詳しくは契約書・発注書で見る項目で説明しています。
ログイン情報は「自社で入れるか」まで試す
ID とパスワードが紙に書いてあるだけでは足りません。サーバーの管理画面とサイトの更新画面に、実際に自社で入れるかを試してください。制作会社のメールアドレスで登録されていると、パスワードを変えられても気付けません。

ドメインの手続き ─ 名義の変更と移管は別
ドメインの「名義を変える」ことと「移管(管理する業者を変える)」は、別の手続きです。名義が制作会社なら、両方を頼むことになります。
名義の変更(登録者を変える)
登録者を制作会社から自社に変える手続きです。JPRS では、登録者を別の会社に変える手続きを「ドメイン名移転」と呼んでいます(JPRS「JPドメイン名の各種申請について」)。手続きは、そのドメインを管理している業者を通して行います。
移管(管理する業者を変える)
管理する業者(JPRS の言い方では「指定事業者」)を変える手続きです。JP ドメインでは「指定事業者変更」と呼ばれ、次の流れになります(JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」)。
- 登録者が、今の業者に認証コード(AuthCode)を確かめる
- 登録者が、新しい業者に変更を申し込む
- 今の業者から登録者に意思の確認が届き、承認すると完了する
認証コードの有効期限は、JPRS が作った日の翌日から数えて35日です(2026年10月時点)。ドメインに「指定事業者変更ロック」がかかっていると、変更の申請ができません(JPRS「指定事業者変更ロック」)。
◯◯.com などは、ICANN の決まりに従います。2026年10月時点では、次の制限があります(ICANN Transfer Policy)。
| 場面 | 移管の制限 |
|---|---|
| 登録から60日以内 | 移管を断られることがある |
| 移管から60日以内 | 原則として移管できない |
| 登録者を変えた後 | 60日間は移管できない(事前に外せる場合がある) |
名義を変えた直後に移管しようとすると、ここで止まることがあります。
頼む順番
- 新しい業者に自社のアカウントを作る
- 登録者を自社に変えてもらう
- 認証コードをもらって移管する
- 管理画面の連絡先メールアドレスを、自社のものにする
意思の確認や更新のお知らせは、登録されたメールアドレスに届きます。制作会社のアドレスのままだと、自社で承認できません。
契約書のチェック箇所5つ
手元の契約書(または利用規約)で見る場所は、著作権・契約期間・解約予告・違約金・データの取り扱いの5か所です。
| 見る箇所 | 気を付けたい書き方 | 分かること |
|---|---|---|
| 1. 著作権・成果物の帰属 | 「著作権は制作会社に帰属する」 | 他社で作り替えられない場合がある |
| 2. 契約期間と自動更新 | 「◯年契約・自動更新」 | 解約できるタイミングが限られる |
| 3. 解約予告期間 | 「解約は◯か月前までに書面で」 | 通告から終了までの期間が決まる |
| 4. 違約金・残りの支払い | 「残り期間分を一括で請求」 | 途中でやめるときの金額が決まる |
| 5. データの取り扱い | 「解約後はサイトを削除する」 | 解約後にデータをもらえるか |
違約金と残りの支払いは、月額0円・格安プランの契約で問題になりやすい箇所です。
契約書が見つからない場合
契約書が無い場合は、メールのやり取りが契約内容の手がかりになります。当時の見積もりが付いたメール、発注の意思を伝えたメール、月額や保守の内容が書かれた案内を探しておいてください。
円満に切り替える4ステップ
揉めずに進める順番は「新しい依頼先を決める → データを確保する → 解約を通告する → 移行が終わってから旧契約を終える」です。
ステップ1. 新しい依頼先を先に決める
移行には受け皿が要ります。候補選びは制作会社の選び方を参考にしてください。他社からの移行を手伝ったことがあるかも聞いておくと、何を集めればよいかを具体的に教えてもらえます。
ステップ2. データ・ログイン情報を確保する
- サイトのデータ一式(画像・文章・ファイル)
- ドメインの情報(管理している業者・登録者・ログイン・更新日)
- サーバーの情報(会社名・プラン・ログイン)

ステップ3. 契約に沿って解約を通告する
予告期間を守り、書面かメールで記録を残します。理由は「社内の体制変更のため」程度で十分です。
ステップ4. 移行が終わってから旧契約を終える
新しい環境でサイトが動くのを確かめるまで、旧サーバーは解約しないでください。確かめるのは次の4つです。
- 新しい環境で、全ページが表示される
- 問い合わせフォームから送ると、メールが届く
- ドメインの向き先が、新しいサーバーになっている
- アドレスが https で始まり、「保護されていない通信」と出ていない(SSL とセキュリティの基本)
ページの住所(URL)が変わる場合は、古い住所から新しい住所へ転送(301 リダイレクト)を設定すると、検索の評価を引き継ぎやすくなります(Google 検索セントラル)。切り替え後にやることは公開後30日のチェックリストが使えます。
乗り換えの費用と、続けるかやめるかの比べ方
乗り換えの費用は、新しい会社の見積もりだけでは分かりません。旧契約を終える費用と、新旧が重なる期間の費用が別に掛かります。
| 費用 | 中身 | 誰に払うか |
|---|---|---|
| 移行作業 | サーバーの引っ越し、データの移し替え、表示と送信の確認 | 新しい会社 |
| 引き継ぎの調査 | 他社が作った仕組みの中身と更新の状態を確かめる | 新しい会社 |
| ドメインの手続き | 名義の変更と移管。業者によって手数料が掛かる | 業者、または新しい会社 |
| 新旧が重なる期間 | 切り替えが終わるまで、旧サーバーと旧保守の月額も続く | 旧契約と新契約の両方 |
| 旧契約を終える費用 | 解約予告期間中の月額、違約金、残りの分割払い | 今の会社 |
データを持ち出せないときの比べ方
データもドメインも持ち出せない場合は、作り直しになります。比べるのは、次の2つの総額です。
| 選び方 | 足し合わせるもの |
|---|---|
| 契約が満了するまで続けて、それから移る | 満了までの月額 + 満了後の作り直し |
| 今やめて移る | 違約金・残りの支払い + 今の作り直し |
作り直しの費用は依頼先と内容で大きく変わります。幅はホームページ制作の費用相場にまとめています。
ドメインだけでも移せれば、失うものは減る
データは渡せなくても、ドメインの名義の変更と移管には応じてもらえる、という落としどころもあります。ドメインが残れば、URL もメールアドレスも変えずに作り直せます。解約の話を出す前に、この一点だけでも聞いておいてください。

管理会社(保守)だけを変える場合の引き継ぎ
サイトは今のままで、保守を頼む相手だけを変えることもできます。作り直しが無いぶん費用は抑えられますが、引き継ぎに漏れがあると、新しい会社が手を出せません。
| 受け取るもの | なぜ必要か |
|---|---|
| サーバーの管理画面のログインと、契約者の名義 | サイトの置き場を触るため |
| ドメインの管理画面のログイン | 住所の設定を変えるため |
| 更新画面(CMS)の管理者の権限 | 編集者の権限だけでは足りないことがある |
| ドメインのメールの設定 | 「info@自社名」のメールが同じサーバーで動いていることがある |
| 問い合わせフォームの送信先と、アクセス解析のアカウント | 引き継ぎ後も、問い合わせと数字が届くようにするため |
| これまでの修正の記録 | 調査が早く済む |
サーバーを移すと、同じサーバーで動いていたメールが届かなくなることがあります。メールの移し方は、新しい会社に先に確かめてください。
他社が作ったサイトを引き受けるとき、新しい会社はまず中身を調べます。バックアップを取り、WordPress などの本体や部品の更新の遅れと、表示とフォームの動きを確かめます。この調査は、保守とは別に見積もられることがあります。保守の考え方はホームページの維持費・管理費は月いくら?にまとめています。
乗り換え先に聞いておく3つの質問
乗り換え先には、通常の選び方に加えて、次の3つを聞いてください。
- 他社からの移行を手伝ったことはあるか ── 契約書の読み方や、ドメインの手続きの段取りまで手伝えるか。どこまで手伝ってもらえるかで、見積もりの範囲もはっきりします
- ドメインは自社名義で取れるか ── 登録者を自社にし、管理画面のログインも自社で持てるか
- 解約するとき、データはどうなるか ── この記事の「契約書のチェック箇所5つ」を、新しい契約書にも当てはめる
体制の違いはフリーランスと制作会社の比較、札幌で候補を探す方法は札幌の制作会社の探し方、避けたい失敗の型はよくある失敗6パターンにまとめています。
まとめ ─ 確認 → 確保 → 通告 の順を守る
- 不満が「対応」か「サイトの中身」かを分けた。中身なら、まず今の会社にリニューアルを相談する
- ドメインの登録者と管理している業者を、WHOIS や契約書で確かめた
- 著作権の条項(27条・28条、著作者人格権)と、データの引き渡しの条項を読んだ
- 名義の変更と移管を分けて頼み、認証コードと60日の制限を確かめた
- 新しい依頼先を決め、データを確保してから解約を伝える順番にした
- 移行が終わるまで旧サーバーを残し、変わるページには転送を設定する
LIT STUDIO のホームページ制作は、50,000円〜(5ページまで)です。保守は月5,000円で、保守を付けない場合はサーバー・ドメインの維持の実費(月数百円〜)で運用できます。手元に今の契約書があれば、ご相談はそこから始められます。
この記事は一般的な情報です。個別の契約の判断は、弁護士に相談してください。
よくある質問
Q.ドメインの名義が制作会社になっていました。何から頼めばいいですか?
Q.名義を変えたばかりのドメインを、すぐ移管できますか?
Q.データをもらえれば、新しい会社でそのまま直せますか?
Q.解約を伝えたら、嫌がらせをされないか心配です。
Q.作り直すと、検索の評価はなくなりますか?
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