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月額0円・格安ホームページのカラクリ ─ 契約前に知るべき総額と落とし穴

月額0円は詐欺ではありませんが「無料」でもありません。広告表示・月額回収・オプション回収という3つの回収パターンと、契約前に確認すべき5つのポイントを整理します。

営業電話を受けながらチラシを手に考え込む店主

「初期費用 0 円でホームページが持てます」。営業電話やチラシで、こうした案内を見ることがあります。制作費に数十万円掛かると聞いた後だと、魅力的に見えます。

月額 0 円・初期費用無料のサービスは、詐欺とは限りませんが、「無料」でもありません。この記事では、その料金の仕組みと、契約してよい場面・避けたい契約の見分け方を整理します。

「月額0円」「初期費用無料」はなぜ成立するのか

サイトを作るにも置いておくにも、費用は掛かります。無料をうたうサービスは、別の所でその費用を回収しています。

回収の仕組みは 3 パターン

パターン回収の仕組み後から掛かるお金
広告表示型無料プランのサイトに運営会社の広告が入る広告を消すための有料プラン
月額回収型初期費用 0 円の代わりに、月額利用料を長期間払う毎月の利用料 × 契約期間
オプション回収型基本は安いが、独自ドメイン・ページ追加などが有料使いたい機能ごとの追加料金
広告の看板が付いた店・毎月硬貨を積む店・追加の箱を足す店の3軒を並べた図
入口が同じ「0 円」でも、出口は 3 通りあります

確かめる所が多いのは「月額回収型」

「初期 0 円・月額 9,800 円・5 年契約」のような形は、実質的には制作費の分割払いに長い縛りを付けた契約です。「0 円」は入口の話で、契約が終わるまでの金額は別にあります。

広告表示型とオプション回収型は、後から掛かるお金が見えやすく、必要になった分だけ払う選び方ができます。

「月額◯円」には 2 種類ある ─ 作成ツールと制作会社の月額制

同じ「月額◯円でホームページ」でも、自分で作る道具の利用料と、作ってもらったサイトを借りる契約とでは中身が違います。

比べる点作成ツールの月額(Wix・STUDIO など)制作会社の月額制
誰が作るか自分制作会社
月額に入るもの道具の利用料とサイトの置き場所制作費の分割分・置き場所・保守(契約による)
契約の縛り月払い・年払いを選び、やめる時期を自分で決められるものが多い最低契約期間が年単位のことがある
やめたとき有料の機能が止まり、無料版に戻るか公開が止まる契約によっては、サイトもドメインも失う
ドメイン自分で取得してつなげられる運営会社の名義で取られていることがある

作成ツールの月額は「自分の時間」とセット

作成ツールは縛りが緩いぶん、作る手間と時間は自分持ちです。その計算は自作と外注の比較で書いています。作成ツールで作ったサイトは、デザインごと別のサービスへ移すことができません。長く使うつもりなら、ドメインだけは自分の名義で取っておくと、乗り換えるときも住所を守れます。ツールごとの違いはWix・STUDIO・WordPress比較にまとめています。

制作会社の月額制は「中身と縛り」を聞く

制作会社の月額制は、前の章の「月額回収型」にあたります。月額に何が含まれるか・最低契約期間・解約時のデータとドメインの扱いで、損得が大きく変わります。

総額で計算すると見えてくるもの

月額型を検討するときは、契約期間の総額に直してください。

例: 月額 9,800 円・最低契約 5 年の場合

項目金額・期間
月額9,800 円
最低契約期間5 年(60 か月)
契約期間の総額588,000 円
電卓とカレンダーを前に、机の上に硬貨の山を何列も並べて計算している事業主
月額は「今月いくら」ではなく「契約が終わるまでにいくら」で見ます

比べるときは同じ 5 年で並べる

月額に保守や更新代行が含まれているなら、一括制作の制作費だけとは比べられません。同じ期間の合計を並べます。

比べるもの足し合わせるもの
一括制作制作費(一括)+ 5 年分の維持費
月額型月額 × 60 か月 + 月額に含まれない作業の追加料金

一括で作る場合の見積もりを同じ条件で取り、この表に当てはめると比べられます。制作費の考え方はホームページ制作の費用相場の見方、維持費は維持費・管理費の記事、制作費が下がる仕組みの一つはAIを使った制作はなぜ安いのかにまとめています。

「月額に何が含まれるか」で答えが変わる

同じ月額 9,800 円でも、更新代行が毎月付くのと、サーバー代だけなのとでは中身が違います。含まれない作業の料金(「文章の差し替えは 1 回いくら」「写真の追加はいくら」)まで聞いて、初めて総額が見えます。

解約時にサイトが残らない問題

月額型の中には、サイトのデータやシステムが運営会社のものという契約があります。その場合、解約すると次のものを失うことがあります。

失うもの何が起きるか
サイトそのものデザインも文章も持ち出せず、解約と同時に消える
ドメイン運営会社の名義で取られていると、使ってきた URL ごと失う
検索の評価ドメインと URL を失うと、そこに溜まった評価も引き継げない
画面が真っ暗になったノートパソコンを、エプロン姿の店主が困った顔で見ている
払うのをやめた瞬間に、借りていたものは手元から消えます

「買ったつもりが借りていた」というずれ

この形の契約は、月額を払っている間だけサイトを「借りている」状態です。賃貸住宅と同じで、借りること自体が悪いわけではありません。困るのは、作ってもらったのだから自分のものだと思ったまま解約し、何も残らないと後で分かる場合です。

ドメインの名義は先に確かめる

失うものの中で取り返しがつきにくいのがドメインです。ドメインは、名刺やチラシに印刷している URL そのものです(仕組みはドメインとサーバーの記事)。自社の名義で取得できるか、解約時に移管(名義を自社へ移すこと)できるかを、契約の前に聞いてください。乗り換えのときにドメインとデータを守る手順は制作会社の乗り換え方にまとめています。

リース商法との見分け方

契約書に「リース」の文字があるか、契約の相手が制作会社とは別の会社になっているかで、まず見分けられます。

リース商法とは

ホームページの制作に、ソフトウェアやパソコンなどのリース契約を組み合わせ、営業電話や訪問で契約を急がせる売り方です。リース契約には、途中で解約できない条項や、解約するときに残りのリース料をまとめて払う条項が付いていることがあります。

公益社団法人リース事業協会も、個人事業者などを相手にした小口のリース取引で、ホームページを対象にした取引に販売店の不適切な販売方法などの問題事例があるとして、対応策を公表しています(リース事業協会「小口リース取引に係る問題事例の解消を目指して」2008 年)。

こんな契約は一度持ち帰る

持ち帰って契約書を読んでも判断がつかないときは、契約の前に弁護士や、商工会議所・商工会の相談窓口に見てもらってください。

月額型が悪くないケースもある

総額と解約の条件を分かったうえで選ぶなら、月額型が合う場面があります。

  • 初期資金を用意できない: 創業直後で、まず名刺代わりのサイトが必要
  • 短い期間だけ使うと分かっている: 期間限定の店舗・イベントなど
  • 広告表示型の無料プランで、まず試したい段階

どれも、サイトを「長く育てる資産」ではなく「今すぐ必要な道具」として使う場面です。初期資金が理由なら、制作費の一部が後から戻る補助金を使う方法もあります(後払いで、上限や時期の決まりがあります)。仕組みは持続化補助金でホームページを作るにまとめています。

鍵の付いた賃貸の部屋と、庭のある小さな持ち家の間で迷っている事業主
どちらが合うかは、事業が今どの段階かで変わります

契約前に確認すべき 5 つのポイント

次の 5 つを聞いて、答えを契約書の条文で確かめてください。

  1. 最低契約期間と総額: 期間 × 月額を自分で計算する
  2. 中途解約の条件と違約金: 残りの期間分をまとめて請求されないか
  3. 解約時にデータをもらえるか: 文章・写真・デザインの扱い
  4. ドメインの名義: 自社の名義で取得できるか、解約時に移管できるか
  5. 月額に含まれる作業の範囲: 更新代行は何回までか、含まれない作業の料金はいくらか

口頭で「大丈夫です」と言われても、条文に無いことは、無いものとして扱われます。担当者が変わると、口頭の説明は通じません。契約書のどの条文を見るかは制作の契約書・発注書で見る項目に、見積書の読み方は見積書の見方にまとめています。会社選び全般の基準は制作会社の選び方、よくあるトラブルの型はよくある失敗の記事が参考になります。

すでに契約してしまったときの確かめ方と動き方

慌てて解約を切り出す前に、手元の契約書と請求書で 4 つを確かめてください。

確かめること見る所なぜ大事か
契約の相手契約書の相手方の欄、引き落としの名義リース会社や信販会社が相手だと、制作会社がいなくなっても支払いが続く契約のことがある
残りの期間と、途中でやめたときの金額契約期間・中途解約・違約金の条文残りの月額をまとめて請求される契約がある
自動更新と、解約を伝える期限更新・解約の条文期限までに伝えないと、自動で契約が延びることがある
サイトのデータとドメインの名義著作権とデータの引き渡しの条文、ドメインの管理画面次のサイトへ何を持ち出せるかが決まる

答えごとの動き方

  • 自動更新の期限が近い: 続けるつもりが無いなら、期限より前に、メールや書面など記録の残る形で解約の意思を伝える
  • ドメインが自社名義、または移管できる: 次のサイトを先に用意し、切り替えてから解約する
  • ドメインを移せない: 新しいドメインで作り直す前提で、名刺・チラシ・地図の登録などに載せた URL の書き換えまで計画に入れる

データとドメインを守りながら移る手順は、制作会社の乗り換え方で説明しています。

まとめ ─ 月額0円は「無料」ではなく「分割払い」

契約の前に、次の点を確かめてください。

  • 回収の仕組みが「広告表示」「月額回収」「オプション回収」のどれか分かっている
  • 月額 × 契約期間の総額を出し、一括制作 + 維持費と同じ期間で比べた
  • 解約するとサイト・ドメイン・検索の評価がどうなるか、契約書で確かめた
  • 契約を急がせる・リース契約が絡む・解約の条件を説明しない、のどれにも当てはまらない
  • ドメインを自社の名義にできる、または解約時に移管できると条文にある
  • 月額に含まれる作業と、含まれない作業の料金を聞いた

「0 円」という言葉ではなく、総額・データとドメインの名義・解約の条件の 3 つで判断してください。

LIT STUDIO(札幌)の料金は料金ページで公開しています。ホームページは 5 ページまで 50,000 円〜、保守は月 5,000 円です。見積もりの金額と作業の範囲、サイトとドメインの扱いについてのご相談はお問い合わせからどうぞ(契約の条項の法的な判断は、弁護士にご相談ください)。

よくある質問

Q.月額0円・初期費用無料のホームページは怪しいのですか?
詐欺とは限りませんが、無料でもありません。運営会社は広告表示・月額利用料・有料オプションのいずれかで費用を回収しています。月額制なら、契約期間の総額に直して判断してください。
Q.月額型のホームページを解約するとどうなりますか?
契約によります。サイトのデータやシステムが運営会社のものという契約では、解約するとサイトそのもの・ドメイン・検索の評価を失うことがあります。「解約時にデータをもらえるか」「ドメインは自社名義にできるか」を契約書の条文で確かめてください。
Q.リース契約が絡んでいるかは、どこで分かりますか?
契約書の題名と相手方の欄、引き落としの名義を見ます。契約の相手が制作会社ではなくリース会社や信販会社になっている場合は、制作会社がいなくなっても支払いが続く契約のことがあります。中途解約の条文もあわせて確かめてください。
Q.事業用の契約でも、クーリング・オフはできますか?
特定商取引法は、営業のために結ぶ契約を訪問販売や電話勧誘販売の決まりの対象から外しているため、事業の契約には使えないことが多いです。扱いは契約の実態によって変わることがあるので、困ったときは弁護士や商工会議所・商工会の相談窓口に早めに相談してください。
Q.月額型を選んでもよいのはどんな場合ですか?
創業直後で初期資金が用意できない場合、期間限定の店舗など短い期間だけ使うと分かっている場合、無料プランでまず試したい段階などです。総額と解約の条件を分かったうえで、借りていると理解して選ぶなら、合う場面があります。
Q.Wixなどの作成ツールの月額と、制作会社の月額制は何が違いますか?
作成ツールの月額は、自分で作るための道具の利用料とサイトの置き場所の料金で、やめる時期も自分で決められるものが多いです。制作会社の月額制は、制作費の分割分や保守を含めて作ってもらったサイトを借りる契約で、最低契約期間の縛りや、解約時にサイトとドメインを失う条件が付くことがあります。
Q.すでに月額型のホームページを契約してしまった場合、まず何をすればいいですか?
慌てて解約を切り出す前に、契約書と請求書で、契約の相手、残りの期間と途中でやめたときの金額、自動更新と解約を伝える期限、サイトのデータとドメインの名義の4つを確かめてください。続けるつもりが無いなら、期限より前に記録の残る形で解約の意思を伝えます。

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