美容室・サロンのホームページの作り方 ─ ホットペッパー依存からの脱却
媒体は出会い、公式サイトは再会。2回目以降の予約を自分の店の窓口へ移す3ステップと、指名につながるスタイリスト紹介・施術例の見せ方、加工写真や薬剤の効き目の言い切りを避ける決まりをまとめました。

「ホットペッパーの掲載料が重い。でも外したら新規が来なくなる」。美容室・サロンの経営では、この板挟みがよく話題になります。
掲載のプランを上げれば、新しいお客様との出会いは増えます。ただ、割引で店を選んだお客様は、次の来店でも割引で店を選ぶことがあります。
そこで考えたいのが、「媒体で出会い、気に入ってくれた人とは自分の店の窓口で再会する」 という流れです。その受け皿になるのが公式ホームページです。
この記事では、美容室・サロンのホームページに何を載せるか、スタイリスト紹介と施術例の見せ方、写真や説明文で守る法律の決まりを順に説明します。
美容室・サロンのホームページの役割
媒体や SNS で店を知った人の中には、予約の前に店名で検索し直して、もう少し詳しく調べる人がいます。知りたいのは、雰囲気が自分に合うか、どんな人が担当するのか、実際の価格はいくらか、といったことです。
公式サイトが無いと、店名で検索した結果はクーポンサイトや口コミサイトで埋まります。興味を持ってくれた人への自己紹介を、他社の媒体に任せている状態です。

公式サイトが担う役割は、次の 3 つに整理できます。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 店名検索の受け皿 | 店名・スタイリスト名で検索した人に、店の雰囲気と正確な情報を伝える |
| 媒体に載らない情報の置き場 | こだわり・教育・お店の成り立ちなど、媒体の型に収まらない自己紹介 |
| 自分の店の予約の窓口 | 媒体を通さない予約を受ける |
ホットペッパー依存から抜け出すには
抜け出すといっても、掲載をやめることではありません。2 回目以降のお客様の予約を、自分の店の窓口へ移す のが現実的です。
新しいお客様と出会うための掲載料は、必要な投資です。一方で、すでに関係のできた常連のお客様まで媒体経由で予約していると、媒体の費用が再来の予約にもかかり続けます。媒体の費用の仕組みは契約によって違うので、契約先の媒体で条件を確かめてください。
移行の 3 ステップ
- 公式サイトと予約の窓口を整える ── ネット予約(予約システムや LINE)を公式サイトにつなぎます
- 来店したお客様に、次回の予約の窓口を案内する ── 会計のときにその場で次回の予約を取るか、「次回は公式サイト(LINE)からどうぞ」と一言添えます
- 媒体のプランを様子を見ながら調整する ── 再来の予約が自分の店の窓口に移った分だけ、媒体を新しいお客様向けに絞ります
1 を整える前に 2 だけ進めると、案内した先に受け皿が無いことになります。

案内は、紙を渡すだけより、次回の予約の話と一緒にするほうが伝わります。QR コードをその場で読み取ってもらい、公式から予約すると何が便利か(希望のスタイリストを選びやすい、など)を一言添えます。言い方を 1 つ決めてスタッフ全員でそろえると、毎回考えずに済みます。LINE を窓口にする場合のつなぎ方は、LINE公式アカウントとホームページの連携 にまとめています。SNS との役割の分け方は ホームページと SNS どっちを先にやるべき? で説明しています。
必ず載せるべき内容
美容室・サロンの公式サイトで最低限そろえたいのは、次の 6 つです。どれも「予約の前に知りたいこと」です。
| 載せるもの | 中身 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| メニューと正直な価格 | 税込の料金と、金額が変わる条件 | 実際の価格を確かめに来た人への答え |
| スタイリスト・スタッフ紹介 | 得意なスタイル、こだわり、人柄 | 店選びは最後は担当者選びになるため |
| 施術例(スタイル写真) | 実際の仕上がりと担当者名 | 技術と好みが合うかを見てもらう |
| 店の内観・外観の写真 | 店内の雰囲気、入口の様子 | 初めての場所に入る不安を減らす |
| 予約への入口 | 全ページから 1 回押せば届く配置 | 予約したい気持ちのまま進めるため |
| アクセスと営業時間 | 地図・定休日・駐車場の有無 | 行けるかどうかの最終確認 |
価格は「〜」の中身まで、税込で書く
「カット ¥4,400〜」だけでは、実際にいくらになるのか分かりません。指名料・長さによる料金・シャンプーの有無など、金額が変わる条件まで書きます。価格は消費税を含めた額で表示する決まり(総額表示)があり、ホームページの価格も対象です(国税庁「総額表示」の義務付け)。
予約の入口は全ページに、スマホで押しやすく
スタイリスト紹介を読んで「この人にお願いしたい」と思った瞬間が、予約に近い瞬間です。予約ボタンはトップページだけでなく全ページに置き、スマホで親指で押せる大きさにします。スマホ対応の考え方は ホームページのスマホ対応とは? を、細かい工夫は 問い合わせが増えるホームページの作り方 をご覧ください。地図で見つけてもらう準備は Google ビジネスプロフィール登録のやり方 で説明しています。
予約の受け方と、来店前に知りたい決まりごと
予約の入口は 1 つに絞らず、お客様の状況に合わせて選べるようにします。
| 予約の入口 | 向いているお客様 | 注意すること |
|---|---|---|
| 予約システム(ネット予約) | 夜や早朝に、空いている時間を見て決めたい人 | 媒体の予約枠と二重に管理しない |
| LINE | 通い慣れた再来のお客様 | 人が返信するなら、返事の目安の時間を書く |
| 電話 | メニューの相談をしたい人 | 施術中は出られないため、つながりやすい時間を書く |
媒体の予約と自分の店の予約を並行すると、同じ時間に 2 件入るダブルブッキングが起きやすくなります。導入の前に、両方の予約を 1 か所で見られる仕組みにできるかを確かめ、できない場合は誰がいつ突き合わせるかを決めておきます。
予約ボタンの近くには、次の決まりも書いておきます。厳しい書き方にする必要はなく、「こうしていただけると助かります」で伝わります。
- キャンセルや日時の変更は、いつまでに、どう連絡すればよいか
- 遅れそうなときの連絡先と、遅れた場合の扱い(雪の多い地域なら、大雪の日の扱いも)
- 使える支払い方法
- 子ども連れや付き添いの方と一緒に来てよいか
スタイリスト紹介と施術例の見せ方
技術もセンスも、お客様は担当する人を通して判断します。
紹介は「経歴」より「得意と人柄」
受賞歴や在籍年数より、初めてのお客様が知りたいのは次のようなことです。
- 得意なスタイル、得意な髪質や悩み
- 施術で大切にしていること
- 趣味や人となりが分かる一言
施術例は担当者に結び付ける
スタイル写真に「担当: ◯◯」を添えるだけで、写真から指名へつながります。スタイリスト紹介のページから、その人の施術例だけをまとめて見られるようにすると、さらに選びやすくなります。

くせ毛・うねり、白髪、ダメージなど悩みの深いメニューでは、施術の前と後の写真が判断の材料になります。どのくらい時間がかかったかを添えると分かりやすくなります。
写真と説明文で守る法律の決まり
美容室のホームページにも、表示の法律がかかります。代表的なのは次の 2 つです。
景品表示法 ─ 実際より良く、得に見せない
景品表示法 第 5 条 は、サービスの内容を実際より著しく良く見せる表示や、価格などの条件を実際より著しく得に見せる表示を禁じています。美容室では、次の点に気をつけます。
- 仕上がりの写真を、明るさの調整を超えて加工しない。前と後で、照明や角度などの撮影の条件をそろえる
- 「通常 ◯円 → 初回 ◯円」のように比べる価格を書くなら、その「通常」の価格で実際に売っていること
- 「地域 No.1」のような表現は、根拠を示せないなら使わない
薬機法 ─ 薬剤や商品の効き目を言い切らない
薬機法 第 66 条 は、医薬部外品や化粧品の効能・効果について、うそや大げさな広告を「何人も」してはならないと定めています。美容室も対象です。施術で使う薬剤や、店で売るシャンプー・トリートメントについて、「傷んだ髪が元に戻る」「髪が治る」のような言い切りは避けます。
判断に迷う表現は、都道府県の薬務や景品表示法の担当窓口、弁護士に確認してから載せてください。
指名で来るお客様と、割引で来るお客様
公式サイトを整えて得られるものは、手数料の見直しだけではありません。スタイリスト紹介や施術例を見て「この人にお願いしたい」と来店したお客様は、最初から担当する人を選んで来ています。
| 来店の理由 | 次回の行動 | 提案への反応 |
|---|---|---|
| クーポンが安かったから | 次も安いクーポンを探すことがある | 価格が上がる提案は通りにくい |
| この人にお願いしたいから | 同じ人を指名して戻ってくる | 髪の状態に合わせた提案を聞いてもらいやすい |
割引で選んだお客様が次も価格で動くのは、店の力不足ではなく、選ばれ方の違いです。媒体の型の中では文字数も写真の枚数も決まっていて、個性が埋もれます。自分のサイトなら、伝えたいことを伝えたい量で見せられます。

スタッフの採用にも公式サイトが効く
働きたい人も、求人媒体で見つけたあとに店名で検索して雰囲気を確かめます。教育の仕組み(練習の時間、誰が教えるか、デビューまでの流れ)、働き方(休日の取り方)、給与の決まり方(指名や売上がどう反映されるか)を載せておくと、応募の判断材料になります。
お客様向けのスタッフ紹介は、働きたい人には「一緒に働く人」の紹介になります。採用のためだけに別のページを作り込む前に、今のスタッフ紹介を充実させるのが近道です。募集の条件をサイトに書くときは、法律で書くことが決まっている労働条件があります。中小企業の採用ページの作り方 で説明しています。
費用を左右するもの
制作の費用は、ページ数、写真撮影を入れるか、予約システムとつなぐかで変わります。美容室は写真がそのまま商品の見本になる業種ですが、最初から全部をプロに撮ってもらう必要はありません。
- スタイル写真は、日々の施術で撮りためたもの(許可を取ったもの)が使える
- 内観・外観と、スタッフの顔写真はプロに任せる価値が大きい
- 撮影を後から足せる作りにしておくと、予算を分けられる
相場の考え方は ホームページ制作の費用相場 に、自分たちで撮るコツは ホームページの写真はスマホで十分? にまとめています。媒体から自分の店の窓口へ移すという同じ課題は、飲食店のホームページは必要? でも扱っています。
まとめ ─ ファンを増やす場所を自前で持つ
サイトを作る前でも、すでにある場合でも、次の項目を確かめてください。
- 店名で検索した人が最初に見るページを、自分で決められている
- 2 回目以降の予約を、自分の店の窓口へ移す案内ができている
- 価格は税込で、「〜」の中身まで書いてある
- スタイリスト紹介に、得意と人柄が書いてある
- 施術例に担当者名があり、写真はお客様の許可を取っている。加工や効き目の言い切りがない
- 予約への入口が、全ページからスマホで 1 回押せば届く
LIT STUDIO は札幌の Web 制作スタジオです。ホームページは 50,000 円から(5 ページまで)、ネット予約のフォームは 20,000 円から、採用のページは 30,000 円、公開後の保守は月 5,000 円で、最短 3 日で公開できます。美容室・サロン向けには、スタイリスト・アシスタントの応募への一次返信を作るアプリ「AI採用事務員」も用意しています。詳しくは 美容室・サロン向けページ をご覧ください。
よくある質問
Q.ホットペッパーの掲載をやめても大丈夫ですか?
Q.施術例の写真を載せるときに、気をつけることはありますか?
Q.薬剤やトリートメントの効果は、どこまで書いてよいですか?
Q.価格はどう書けばいいですか?
Q.ホットペッパーと公式サイトの両方で予約を受けても大丈夫ですか?
Q.公式サイトはスタッフの採用にも役に立ちますか?
あわせて読む