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士業のホームページの作り方 ─ 税理士・行政書士・社労士の集客の鍵

士業サイトの役割は、相談のためらいを減らすことです。地域×分野のページ、料金の目安の載せ方、人柄の見せ方に加えて、ホームページも対象になる広告の決まりと、事例を載せるときの守秘の注意を整理しました。

明るい事務所の机で、相談者と向かい合って話している士業の先生

税理士・行政書士・社労士への相談は、紹介から始まることが多い仕事です。ただ、会社を立ち上げる人や相続に直面した人が、最初に検索で探すことも増えています。「札幌 税理士 開業支援」「建設業許可 行政書士」のような検索に応えるページがあるかどうかで、新しい相談の入口が変わります。

士業のホームページには独特の難しさがあります。サービスの中身が目に見えない。料金が分かりにくい。そして「先生」に相談すること自体に、ためらいがあります。

この記事では、この 3 つに応える作り方として、専門分野の絞り込み・料金の目安の開示・人柄の見せ方 を説明し、あわせて広告と守秘の決まりを整理します。

士業のホームページの役割 ─ 「相談していいか」に答える

士業を探している人は、困りごとを抱えた状態でサイトを開きます。そのとき知りたいのは、次の 3 つです。

知りたいことサイトで答える方法
自分の悩みに対応してくれる事務所か専門分野・取り扱う業務をはっきり書く
いくら掛かるのか料金の目安と、金額が変わる条件を載せる
どんな人なのか、話しやすいか顔写真・プロフィール・平易な文章

業務の名前が並んでいるだけ、料金は「お問い合わせください」だけ、代表の顔が無い。この形のサイトでは、3 つの疑問が残ったまま閉じられます。

会社設立や相続の手続きは、多くの人にとって人生で何度もない出来事です。何を聞けばいいのかも分からないまま、スマホで検索していることがあります。サイト側が「こういう段階の方からご相談いただいています」「最初にこれを伺います」と先に書いておくと、問い合わせのためらいが減ります。

夜、書類を前にスマホで相談先を探している人
夜のスマホの検索が、相談の入口になることがあります

専門分野の絞り込みが集客の鍵

「税務全般・相続・起業支援・融資・記帳代行、なんでもご相談ください」というサイトは、間口が広く見えますが、具体的な検索には当たりにくくなります。相続で悩む人が探すのは「相続に詳しい税理士」です。

検索は「業種 × 悩み」で行われる

  • 「飲食店 税理士」── 業種で探している
  • 「建設業許可 申請」── 手続きの名前で探している
  • 「就業規則 社労士」── 困りごとの名前で探している

こうした検索に応えるには、分野ごとに独立したページ を用意します。事務所の業務範囲が広くても、サイト上は「相続」「開業支援」のように分けて立てます。1 ページに全部を詰め込むと、どの検索にも中途半端にしか当たりません。

絞るのは入口で、業務範囲ではない

絞るのはサイトの入口であって、事務所の業務範囲を捨てるわけではありません。入口を分野ごとに分け、来てくれたお客様に他の業務も案内する、という順番です。

入口は一つに絞り、中では幅広い業務に案内している事務所のイメージ
看板を掛け替えるのではなく、入口の向きを変えるイメージです

必ず載せるべき内容

絞り込みを前提にすると、基本の構成は次の 6 つです。

  1. 専門分野ごとのサービスページ ── 対象になる人、よくある悩み、依頼した場合の流れと成果物
  2. 料金の目安 ── 次の章で説明します
  3. 代表のプロフィール ── 経歴に加えて、この仕事を選んだ理由や仕事への考え方
  4. 相談の流れ ── 初回相談の有無・時間・費用、必要な持ち物
  5. 事務所概要とアクセス ── 登録番号、所属会、地図
  6. よくある質問 ── 「こんな段階で相談していいのか」への答え

相談の流れは「初回に何が起きるか」まで書く

  • 初回相談は無料か、有料ならいくらか
  • 何分くらいか、対面かオンラインか
  • 何を持っていけばいいか(決算書、登記簿、給与台帳など)
  • 初回のあと、すぐ契約になるのか、見積もりが出るのか

よくある質問には、業務の説明より先に、「まだ何も決まっていないのに相談していいか」「小さな会社でも受けてもらえるか」といった遠慮への答えを入れます。事務所の地図は Google マップとセットで整えます。やり方は Google ビジネスプロフィール登録のやり方 をご覧ください。

料金の目安を載せる

案件ごとに工数が違うので一律には書けない、という事情はもっともです。それでも、料金がまったく分からないと、相談する側は「聞いたら断りにくいのでは」という負担を抱えたまま問い合わせることになります。目安だけでも載せておくと、その負担を先に減らせます。

書き方は 3 パターン

業務の性質書き方例
定型業務(設立、許認可申請、顧問料など)パターン別の料金表「◯◯の場合は ◯◯円」を表で並べる
案件ごとに変わる業務「◯◯円〜」の目安 + 変動する条件「◯◯円〜。件数や規模により変わります」
見積もりの前提前提条件を書く初回相談の費用、見積もり後に追加費用が出る条件
料金の目安が書かれた紙を見せられ、ほっとした表情の相談者
「聞いたら断りにくい」という負担を、先に減らしておきます

「◯◯円〜」だけでは、自分の場合がいくらか分かりません。「何によって変わるのか」まで書くと、相談する人は自分がどのあたりかを想像できます。料金ページの整え方は 問い合わせが増えるホームページの作り方 も参考にしてください。

人柄が見える要素を入れる

同じ資格を持つ専門家が並んだとき、決め手の一つになるのが「この人なら話しやすそう」という感覚です。

顔写真と「人」の情報

顔写真があると、誰が対応するのかが見えます。作り込んだ宣材写真より、机で普通に話しているような自然な写真のほうが、相談する場面を想像しやすくなります。顔を出すのがどうしても難しい場合は、プロフィールの文章や事務所の写真、料金の目安など、ほかの材料を厚くします。

机で自然な表情で話している士業の先生
「この人なら話しやすそう」は、文章より先に写真から伝わります

経歴と資格だけのプロフィールは、どの事務所も同じに見えます。出身地、この仕事を選んだきっかけ、大切にしている考え方を数行足すだけで、「どんな人か」が伝わります。

専門用語に一言添える

文章が難しいと、「相談しても話が難しそう」と思われます。たとえば「顧問契約」なら、「毎月の会計と申告をまとめて任せる契約」のように一言添えます。制度改正の解説などのコラムも、平易に書けば専門性と人柄を同時に伝えられます。題材は 会社ホームページのお知らせ・ブログは何を書く? が使えます。

相談の窓口と、秘密の扱いを書いておく

士業に相談する人は、お金・家族・会社の内情といった、人に言いにくい話を抱えています。窓口のページで、「この話を書いて送って大丈夫か」という迷いに先に答えます。

書くこと例
秘密の扱い法律で守秘義務があること。相談の内容を外に出さないこと
フォームに書いてほしいこと「ご相談の分野と、困っていることの概要だけで構いません」
フォームに書かないでほしいことマイナンバーや口座番号、決算書そのものなど。必要なものは面談で確認すると書く
相談の方法来所・オンライン・電話のどれで受けるか。土日や夜の対応の有無
返事の目安何日以内に、どの方法で連絡するか

守秘義務は、税理士は 税理士法 第 38 条、行政書士は 行政書士法 第 12 条、社労士は 社会保険労務士法 第 21 条 に定めがあります。問い合わせフォームを置く以上、アドレス欄に鍵マークが出ていること(https で始まること)は前提です。仕組みは ホームページのSSLとセキュリティの基本 で説明しています。

紹介で来る人にも、サイトは見られている

紹介で名前を聞いた人も、連絡する前に事務所の名前で検索することがあります。そこで確かめるのは、紹介された分野を扱っているか、代表の顔と経歴、料金の目安、事務所の場所と相談の方法です。紹介だからこそ料金を聞きにくい、と感じる人もいます。

金融機関・他の士業・顧問先の経営者など、事務所を紹介してくれる人がいるなら、分野ごとのページが分かれていると、紹介する人は相手の悩みに合ったページだけを送れます。他の士業と組んで手続きをまとめて受けている場合は、どの手続きを誰が担当するのかも書いておきます。プロフィールや事務所紹介の文章の型は ホームページの原稿の書き方 を参考にしてください。

広告と事例紹介の決まり

士業の広告には、資格ごとの法律と、所属する会の会則・規則による決まりがあります。ホームページも対象になると考えて作ります。

行政書士の例 ─ 職務基本規則第 17 条

日本行政書士会連合会の 行政書士職務基本規則 第 17 条は、広告宣伝に「ホームページ、SNS等によるものを含む」と明記したうえで、次の広告を禁じています。

  • 不当な目的によるもの、品位を損なうおそれのあるもの
  • 事実に合致しない内容のもの
  • 誤認や誤導のおそれのある内容のもの
  • 誇大なもの

「地域 No.1」「必ず許可が取れます」のような表現は、根拠が無ければ事実に合わない・誇大な広告にあたるおそれがあります。

税理士は所属する税理士会の会則と広告に関する定め、社労士は所属する都道府県社会保険労務士会の会則や規程に従います。弁護士は日本弁護士連合会の業務広告に関する規程があります。いずれも改正されることがあるので、公開前に所属の会が公開している最新の定めを確認してください。

事例を載せるときは守秘に注意する

解決した事例の紹介は、専門性を伝える材料になります。一方で、事例には依頼者の秘密が含まれます。載せるなら、依頼者本人の同意を取るか、業種・地域・金額などを変えて誰のことか分からない形にします。

規制のある業種のサイトの例として、クリニック・治療院のホームページの作り方 も参考になります。

費用を左右するもの

費用は、分野ごとのページをいくつ作るか、プロフィール用の写真を撮るか、コラムを自分で更新できる仕組みを入れるかで変わります。最初は基本のページと主力の分野 1 つから始め、分野のページを後から足せる作りにしておくと、専門分野を育てながらサイトを広げられます。相場の考え方は ホームページ制作の費用相場 を、依頼先の見極め方は 制作会社の選び方 をご覧ください。

まとめ ─ 絞って、開示して、顔を見せる

公開前に、次の項目を確かめてください。

  • 「対応・料金・人柄」の 3 つに、サイトのどこで答えているか言える
  • 「地域 × 分野」のページを 1 つ以上持っている
  • 料金は「◯◯円〜 + 変動する条件」の形でもよいので載せている
  • 顔写真か、それに代わる「人」の情報と、平易な文章がそろっている
  • 窓口のページに、守秘のことと、フォームに書かないでほしいことが書いてある
  • 所属の会の広告の定めを確認し、事例は同意を取るか特定できない形にしている

広告の表現や事例の扱いの最終的な判断は、所属の会や弁護士にご確認ください。

LIT STUDIO は札幌の Web 制作スタジオです。ホームページは 50,000 円から(5 ページまで)、公開後の保守は月 5,000 円で、最短 3 日で公開できます。料金は 料金ページ にまとめています。士業事務所向けには、所長が不在になっても事務所が止まらないかを点検するアプリ「もしも診断」も用意しています。詳しくは 士業事務所向けページ をご覧ください。

よくある質問

Q.専門分野を絞ると、他の仕事が減りませんか?
絞るのはサイトの入口で、事務所の業務範囲を捨てるわけではありません。相続や開業支援のように検索されやすい分野ごとにページを分けて見つけてもらい、来てくれたお客様に他の業務も案内する、という順番です。
Q.案件ごとに金額が違うのに、料金は載せられますか?
定型業務(設立・許認可申請・顧問料など)はパターン別の料金表に、案件ごとに変わる業務は「◯◯円〜」という目安と金額が変わる条件をセットで書く方法があります。初回相談の費用や、見積もり後に追加費用が出る条件も書いておくと、相談する側の負担が減ります。
Q.士業のホームページに広告の決まりはありますか?
あります。たとえば行政書士は、行政書士職務基本規則第17条で、ホームページやSNSを含む広告宣伝について、品位を損なうもの、事実に合致しないもの、誤認や誤導のおそれがあるもの、誇大なものを禁じています。税理士・社労士・弁護士もそれぞれ所属の会の定めがあり、改正されることもあるので、公開前に最新の定めを確認し、最終の確認は資格者本人が行ってください。
Q.解決した事例をサイトに載せてもいいですか?
事例には依頼者の秘密が含まれるため、守秘義務に注意が要ります。税理士法第38条、行政書士法第12条、社会保険労務士法第21条に守秘の定めがあります。載せるなら依頼者本人の同意を取るか、業種・地域・金額などを変えて誰のことか分からない形にし、迷うときは所属の会に確認してください。
Q.相談の内容を、問い合わせフォームに書いてもらっても大丈夫ですか?
相談の分野と困っていることの概要までにしてもらい、マイナンバーや口座番号、決算書そのものなどは送らないよう、窓口のページに書いておくのが安全です。法律で守秘義務があること、返事の目安、相談の方法もあわせて書くと、相談する側の迷いが減ります。
Q.紹介中心の事務所にも、ホームページは必要ですか?
紹介で名前を聞いた人も、連絡する前に事務所の名前で検索して、紹介された分野を扱っているか、代表の人物像、料金の目安を確かめることがあります。分野ごとのページを分けておくと、紹介してくれる人が相手の悩みに合ったページだけを送れます。

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