LIT STUDIO
業種別約9分で読めます

建設会社・工務店のホームページの作り方 ─ 施工事例で選ばれるサイトに

施主も元請けも求職者も、会う前にサイトで「任せて大丈夫か」を確かめます。施工事例の書き方、建設業許可の載せ方、元請けと下請けでの構成の分け方、職人の採用ページまで、建設業のサイトに載せるものをまとめました。

完成現場の写真を手に、会社のサイトを確かめている工務店の職人

建設会社や工務店の仕事は、紹介や長年の付き合いで回っていることが多く、ホームページは名刺代わりで十分だと考える会社もあります。それでも、紹介で名前を聞いた施主、新しい協力会社を探す元請け、求人を見た職人は、会う前に社名で検索して会社を確かめることがあります。そのときに何も出てこないか、何年も更新されていないサイトしか出てこないと、話をする前に候補から外れてしまいます。

この記事では、建設会社・工務店のホームページに何を載せるか、施工事例の見せ方、建設業許可の書き方、元請けと下請けでの作り分け、採用への活かし方を順に書きます。

建設会社・工務店にとってのホームページの役割

サイトを開く人は、大きく3種類に分かれます。

見る人見ているもの見つからないとどうなるか
施主(個人・法人)施工事例、対応範囲、人柄、保証やアフター対応頼んだ後の姿が想像できず、相見積もりの相手に入らない
元請け・取引先建設業許可、対応工種、施工体制、会社の所在社内で通す材料が無く、声が掛からない
求職者(職人・若手)現場の雰囲気、先輩の顔、待遇、会社の将来求人票で興味を持っても、応募の手前で止まる

3者に共通しているのは、「この会社に任せて大丈夫か」を確かめに来ていることです。見た目にお金をかける前に、判断の材料が揃っているかを確かめてください。

作業着姿の担当者が、スマートフォンで建設会社のサイトを開いて確かめている様子
会って話す前に、サイトで一度確かめられています

必ず載せる6つの内容

載せる内容中身いちばん役に立つ相手
施工事例工事前後の写真、工期・構造・価格帯、解決した経緯(次の章)施主と元請け
対応工事の範囲と得意分野新築かリフォームか、公共か民間か。「得意はこれです」と書く元請け・施主
会社概要と建設業許可許可の内容、保有資格、加入保険(後の章)元請け・法人の施主
施工の流れと期間の目安相談から引き渡しまでの手順初めて工事を頼む施主
代表・職人の顔写真とあいさつ誰が担当するかが分かる写真と言葉施主と求職者
問い合わせ窓口電話とフォームの両方。現場に出ている時間の受け皿全員

6つを一度に揃えなくても構いません。足りない行から埋めていきます。

施工事例の見せ方

施工事例は、施主と元請けの両方が判断の材料にするページです。完成写真を1枚貼っただけでは、その材料になりません。

1件の事例に入れる3つの要素

  • 工事前と工事後の写真 ── リフォームや改修では、差が一目で伝わります
  • 工事の概要 ── 工期・構造・延床面積・地域・おおよその価格帯。施主は「自分の場合はいくらか」を知りたくて見ています
  • 施主の悩みと、どう解決したか ── 「収納が足りない → 小屋裏を活かした」のような経緯

書く順番を決めておく

  1. 工事の種類と、一言の要約
  2. 工事前の写真
  3. 施主が困っていたこと
  4. どう解決したか(工事の内容)
  5. 工事後の写真
  6. 工事の概要(工期・構造・延床面積・地域・価格帯)
  7. 担当した職人・監督からの一言

型を決めておくと、忙しい時期でも同じ形で積み上げられます。始めるときは、手持ちの代表的な現場を3〜5件選んで1件ずつ記事にし、その後は現場が終わるたびに1件ずつ足します。

工事前と工事後の写真を並べ、工期や面積を書いた用紙と一緒に事例ページをまとめている様子
写真の横に概要と経緯が並ぶと、事例が判断の材料になります

写真はスマートフォンで撮ったものでも、明るい時間に引きと寄りの両方を残しておけば使えます。撮り方は ホームページの写真はスマホで十分? で、公開後に事例を足し続けるときの題材の探し方は お知らせ・ブログは何を書く? で説明しています。

建設業許可の書き方

建設業法第40条は、建設業者に、店舗と、発注者から直接請け負った工事の現場ごとに、許可を受けた業種などを書いた標識を掲げるよう定めています(建設業法)。ホームページへの掲載は法律の義務ではありませんが、国土交通省は2023年2月2日付の通知(国不建第539号)で、建設業者団体を通じて、自社のウェブサイトで次の事項を公表するよう求めています。

  • 商号または名称と、代表者の氏名
  • 一般建設業か特定建設業か
  • 許可の年月日、許可番号、許可を受けた建設業(業種)

許可の内容は、国土交通省の 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム でも確かめられます。サイトの表記と食い違わないようにしてください。

許可を持たない会社の書き方

1件の請負代金が500万円未満の工事(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事。金額は消費税を含む)だけを請け負うなら、建設業許可は要りません(国土交通省の案内)。許可を持たない会社は、許可があるように見える書き方をせず、対応できる工事の範囲と、保有資格・加入保険を書きます。

元請けと下請けで目的が変わる

立場サイトの目的力を入れるページ
元請け(施主から直接受注)施主からの問い合わせ施工事例、施工の流れ、保証・アフター
下請け・専門工事元請けからの信用建設業許可、対応工種、保有資格、施工体制、安全管理

下請け中心の会社が施主向けの柔らかいサイトを作ると、元請けの担当者が欲しい情報(許可・工種・体制)が埋もれます。逆も同じです。誰からの連絡を増やしたいかを最初に1つ決め、両方が欲しい場合は、トップページの主役を一方に決めて、もう一方は独立した1ページにまとめます。

机に2つのサイト構成案を並べ、どちらを主役にするか話し合っている建設会社の2人
誰からの連絡を増やしたいかを先に決めると、構成が最後までぶれません

職人・若手の採用のページ

求人票の文字だけでは、現場の雰囲気は伝わりません。ホームページなら、次のものを載せられます。

  • 先輩職人のインタビュー(入った理由、今の仕事、これから)
  • 1日の流れ(朝の集合から片付けまで)
  • 現場と休憩中の写真。人の顔が写っているもの
  • 未経験者の受け入れ方と、資格取得の支援
  • 応募から採用までの手順と連絡先

採用ページは、求人媒体と競うものではありません。媒体やハローワークで興味を持った人が、応募する前に確かめに来る場所です。求人票には採用ページの住所を必ず書きます。スマートフォンで開いたときの文字の大きさと写真の重さも確かめてください(ホームページのスマホ対応とは?)。書き方の全体は 中小企業の採用ページの作り方 にまとめています。

作業着の若者が休憩中にスマートフォンで会社サイトの現場写真と先輩の紹介を見ている様子
応募の前に、現場の写真と先輩の紹介を確かめる人がいます

応募の手前で止まる人を拾う

職人の採用では、いきなり応募するより「一度話を聞きたい」「現場を見たい」という人がいます。応募フォームとは別に、見学や相談だけの入口を用意しておくと、その人たちを拾えます。電話が苦手な人には LINE の入口も使えます(LINE公式アカウントとホームページの連携)。

応募や問い合わせには、その日のうちに一言返します。現場に出ていて遅れがちなら、誰がいつ見るかを決めておいてください。入社した人の声を採用ページに足していくと、ページが育っていきます。

雪の多い地域の建設会社が書いておきたいこと

札幌をはじめ雪の多い地域では、施主も求職者も「冬はどうなるのか」を気にしています。

施主に向けては、次のことを書きます。

  • 冬でも進めやすい工事と、時期を選ぶ工事 ── 内装やリフォームと、外構や基礎を分けて書く
  • 雪で工期がどう変わるか ── 冬に着工する場合の考え方を、施工の流れのページに添える
  • 雪に備える工事 ── 屋根の雪止め、落雪の対策、玄関まわりの融雪など、対応しているもの

求職者に向けては、冬の間の仕事の中身(屋内の工事・除雪・資格の勉強など)、冬の勤務日数と給料の考え方、通年で雇用しているかどうかを書きます。冬の除雪も手がけている会社は、除排雪業のホームページの作り方 も参考になります。

費用の考え方

建設会社のサイトは、施工事例を自分で足せる仕組み(CMS)を入れるかどうかで、費用と公開後の手間が変わります。CMS は、お知らせや事例を制作会社に頼まずに自分で足せる仕組みのことです。事例を積み上げていく業種なので、入れる価値があります。

動く要素金額への効き方
事例ページの作り込み載せる項目が多いほど、設計と実装に時間がかかる
撮影の有無カメラマンを入れると上がる。自社の写真があれば下がる
原稿を誰が書くか現場の経緯を自社で書き出せるほど下がる

業種で決まる相場はないので、見積書の項目で比べてください。費用の内訳は ホームページ制作の費用相場、依頼先の選び方は 制作会社の選び方、揃えておくものは ホームページ発注前の準備リスト、公開後に連絡が来ないときの見直しは 問い合わせが増えるホームページの作り方 にまとめています。

まとめ ─ 施工事例を会社の資産にする

  • 施主・元請け・求職者のうち、誰を主役にするか決めたか
  • 建設業許可の内容(一般・特定の別、業種、許可番号、許可の年月日)を、すぐ見つかる場所に置いたか
  • 施工事例に、写真だけでなく工期・価格帯・解決した経緯まで書いたか
  • 事例の掲載について、施主の了承(外観・内観・価格の範囲)を取ったか
  • 採用ページに、人の顔と1日の流れを載せたか
  • 公開後も事例を自分で足せる仕組みになっているか

まずは代表的な現場3件の写真と資料を集めるところから始めてください。

LIT STUDIO(札幌)は、札幌の建設会社・北海工務店のコーポレートサイトを作りました。ホームページは 50,000円〜(5ページまで・最短3日)、お知らせ・ブログを自分で更新する仕組みは 30,000円、採用のページは 30,000円、保守は月5,000円です。社長が不在になったときに備える診断のアプリ「もしも診断」も、ホームページと一緒に相談できます。業務アプリは、作ってあるものをそのまま使う「使ってみる」0円、手直しする「合わせる」50,000円〜、ゼロから作る「つくる」98,000円〜で、使うときは月2,980円〜(10人まで)です。アプリの費用の考え方は 業務アプリ開発費用の相場、業種向けの案内は 建設・工務店向けのページ にまとめています。

よくある質問

Q.施工事例は、最初に何件くらい用意すればいいですか?
手持ちの代表的な現場を3〜5件選び、1件ずつ丁寧に書くところから始めれば足ります。件数より、工期・構造・価格帯と、施主の悩みをどう解決したかまで書いてあるかどうかが、判断の材料になるかを分けます。その後は、現場が終わるたびに1件ずつ足していきます。
Q.建設業許可の番号を、ホームページに載せる義務はありますか?
建設業法第40条で掲げることが決まっているのは、店舗と、発注者から直接請け負った工事の現場の標識です。ホームページへの掲載は義務ではありませんが、国土交通省は2023年2月の通知で、商号・代表者・一般建設業か特定建設業か・許可の年月日・許可番号・許可を受けた業種を自社のサイトで公表するよう求めています。
Q.建設業許可を持っていない会社は、どう書けばいいですか?
1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満か、延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)の工事だけなら、許可は要りません。許可を持たない場合は、許可があるように見える書き方をせず、対応できる工事の範囲と、保有資格・加入保険を書いてください。
Q.下請け中心の会社でも、ホームページは要りますか?
元請けの担当者も、新しい協力会社を考えるときに社名で検索して確かめることがあります。下請け中心なら、施主向けの柔らかい構成ではなく、建設業許可・対応工種・保有資格・施工体制・安全管理を前に出した構成にします。
Q.施主の了承が取れなかった現場は、事例にできませんか?
了承が取れない写真は載せないでください。外観は断られても内観はよい、写真はよいが価格は伏せたい、という場合もあるので、外観・内観・価格を分けて聞くと載せられる範囲が広がります。どれも断られた場合は、その現場は載せず、了承を得られた現場で事例を作ります。

あわせて読む