クリニック・治療院のホームページの作り方 ─ 予約につながる安心設計
患者さんは具合の悪い状態でスマホから見ています。診療時間・アクセス・予約を見つけやすくする作り方と、クリニックの体験談の禁止・治療前後の写真の条件、施術所のネット広告の決まり、保険の書き方を整理しました。

体調が悪いとき、人はスマホで近くの医院や治療院を探します。具合の悪い状態で、片手で見ていることもあります。
この前提に立つと、クリニック・治療院のホームページで先に整えるものは決まります。診療時間がすぐ分かること、予約の方法が迷わず見つかること、そして 法律で決まった広告の決まりを守っていること です。
この記事では、載せる内容と予約の入口、クリニック(医療機関)と鍼灸院・整骨院など(施術所)それぞれの広告の決まり、料金ページの書き方を順に説明します。
クリニック・治療院のホームページの役割
ホームページの第一の役割は宣伝ではなく、来院前の疑問に先に答えておく「案内所」になることです。
来院前に確かめたいこと
| 優先度 | 知りたいこと |
|---|---|
| 最優先 | 今日 (この後) やっているか ── 診療時間・休診日 |
| 高 | 場所と行き方、駐車場の有無 |
| 高 | 予約が要るのか、どう予約するのか |
| 中 | 自分の症状を診てもらえるか |
| 中 | どんな先生か、院内はどんな雰囲気か |
上の 3 行は「行けるかどうか」、下の 2 行は「行ってもよさそうか」の判断材料です。上の 3 行が見つからないと、下をどれだけ丁寧に書いても読まれません。
答えがサイトに書いてあれば、「今日やっていますか」「駐車場はありますか」といった受付への電話も減ります。

必ず載せるべき内容 ─ 診療時間・アクセス・予約が最優先
最優先の 3 つ
この 3 つは、トップページを開いた時点で見えているか、1 回押せば着く場所に置きます。
- 診療時間・休診日の表 ── 祝日や臨時休診を、院内で直せる仕組みにします
- アクセス ── 地図、最寄り駅・バス停からの道順、駐車場の台数。冬に停められる台数が減るなら、その旨も書きます
- 予約・受付の方法 ── 予約制か順番制か、電話かネットか、初診でも予約できるか
次に用意したい 3 つ
- 診療内容・施術内容 ── 対応している診療科や施術を、専門用語をかみ砕いて書きます。書ける範囲は、後の章で説明する決まりに従います
- 院長・スタッフの紹介 ── 顔写真と、診療で大切にしていること。顔が見えるだけで、初めて行く場所の不安は軽くなります
- 初めての方へのご案内 ── 来院から会計までの流れ。次の章で書き方を説明します
診療時間は 1 か所で管理する
トップページとアクセスのページの両方に診療時間を手で書いていると、片方だけ直し忘れます。診療時間は 1 か所で管理して、ほかのページはそれを表示するだけの作りにしてください。
Google マップに出る診療時間(Google ビジネスプロフィール)も、同じ日に直します。やり方は Googleビジネスプロフィール登録のやり方 にまとめています。
予約の入口を迷わせない
サイトを見に来た人の多くは、最後に「予約する」か「電話する」ために来ています。その操作で迷わせないことが、デザインで最初に考えることです。
全ページの同じ位置に置く
トップページにだけ予約ボタンがあっても、診療内容のページから読み始めた人には見えません。
- スマホでは、画面の下に「電話」「ネット予約」を常に表示します
- パソコンでは、画面の右上など、どのページでも同じ位置に置きます
- ボタンの文字は「予約する」「電話する」のように、押した後に何が起きるか分かる言葉にします
電話番号はタップで発信できる形に
電話番号を画像で載せると、コピーも発信もできません。番号は文字で置き、タップで発信できるようにします。受付時間を番号の横に書いておくと、時間外にかけてしまう人が減ります。
ボタンの近くで疑問を消す
予約ボタンの手前で止まる人は、小さな疑問を抱えています。その答えをボタンのすぐ横に書きます。
- 「初診の方もネット予約できます」
- 「当日のご予約は電話のみです」
- 「予約なしでも受け付けています (お待ちいただく場合があります)」
LINE から予約を受ける場合のつなぎ方は、LINE公式アカウントとホームページの連携 にまとめています。

「初めての方へ」のページで、初診の不安を先に消す
初診の方は、診察の中身より先に「行ってから何が起きるか」が分からずに不安になっています。来院から会計までを順番に書いたページを 1 つ用意します。
来院から会計までを、順番に書く
| 順番 | 書いておくこと |
|---|---|
| 来院前 | 予約が要るか、問診票を先に記入できるか |
| 受付 | 持ち物(保険証として使うもの、紹介状、お薬手帳など) |
| 待合 | 混みやすい曜日・時間帯、名前の呼ばれ方 |
| 診察・施術 | おおよその所要時間、着替えが要るか |
| 会計 | 使える支払い方法、次回の予約の取り方 |
所要時間は、決まった数字で約束しなくて構いません。「混み合う時間帯は長くお待ちいただくことがあります」のように、幅を持たせて書けば足ります。
書いておくと電話が減る細かいこと
- 子ども連れや付き添いの方と一緒に入れるか
- 車いすやベビーカーで入れるか、入口に段差があるか
- 駐車場が満車のときにどうすればよいか
札幌のように雪の多い地域では、入口までの足元が滑りやすい場所と、大雪で予約の時間に遅れるときの連絡方法も書いておきます。入口や駐車場の写真は、雪のある時期とない時期の両方があると迷われません。撮り方は ホームページの写真はスマホで十分? にまとめています。
クリニック(医療機関)の広告の決まり
医療機関のホームページは、2017 年の医療法改正(2018 年 6 月施行)で、チラシや看板と同じ広告規制の対象になりました。細かい決まりは、厚生労働省の 医療広告等ガイドライン(2026 年 3 月 30 日最終改正)にまとまっています。
載せてはいけないもの
ガイドラインが禁止しているのは、次のような広告です。
- 事実と違う内容 ── 「必ず治る」「絶対に痛みが取れる」
- 他院と比べて優れているとする表現 ── 「地域 No.1」「最高の技術」
- 大げさな表現、公序良俗に反する内容
- 患者さんの体験談 ── 治療の内容や効果についての患者さんや家族の体験談は、書いてある中身が広告できる範囲に収まっていても、自院のサイトには載せられません
- 誤解させるおそれのある治療前後の写真 ── 写真だけを並べるのは不可です
治療前後の写真を載せられるのは、通常必要な治療の内容・費用と、主なリスク・副作用の詳しい説明を付けた場合だけです。その説明はリンク先や小さな文字に回さず、写真と同じ場所に、同じくらい目に入る形で書きます。さらに、治療の効果は本来広告できる事項ではないため、次の「限定解除」の条件を満たしていないページには、治療前後の写真は載せられません。
なお、患者さんが自分のブログや SNS、口コミサイトに書いた感想は、医療機関が費用を出すなどして頼んでいなければ、医療機関の広告には当たりません。
載せられる範囲を広げる「限定解除」の 4 つの条件
医療機関の広告は、本来、法律と告示で決められた事項しか載せられません。ただし、次の 4 つをすべて満たすと、その制限が外れ、詳しい診療内容なども載せられます(③④は自由診療を載せる場合)。
- 患者さんが自分で調べに来て見るウェブサイトなどであること
- 内容について問い合わせられるよう、電話番号やメールアドレスなどの問い合わせ先を書いていること
- 自由診療について、通常必要な治療の内容・標準的な費用・期間や回数を書いていること。費用が決まっていなければ、最低額から最高額までの幅で書きます
- 自由診療について、主なリスクや副作用を書いていること
検索結果の上に出る広告(リスティング広告)やバナー広告、お金を払って検索結果の上位に出したものは、1 つ目の条件に当たりません。こうした広告そのものには、限定解除で載せられる内容は書けないということです。

治療院(施術所)の広告の決まり
鍼灸院・あん摩マッサージ指圧の施術所・整骨院(接骨院)は、医療法ではなく、あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)と柔道整復師法に従います。厚生労働省は 2025 年 2 月 18 日に、その考え方をまとめた あはき・柔整広告ガイドライン を出しました。
自院のサイトと、広告として扱われるもの
ガイドラインでは、施術所の自院のホームページは、原則として法律の「広告」には当たらないとしています。ただし、次のようなものは広告として扱われます。
- 検索結果の上に出る広告(リスティング広告)、バナー広告、動画広告
- お金を払って検索結果の上位に出したもの、施術所の紹介サイトのページ
- 公開範囲を限らない SNS の投稿など
- こうした広告から飛んだ先のページ
広告として扱われるものに書けるのは、法律と告示で決められた事項だけです。たとえば、施術者の資格と氏名、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日や施術時間、予約・休日や夜間・出張による施術をしていること、駐車場のこと、医療保険の療養費の申請ができること(条件付き)などです。施術者の技能・施術方法・経歴は一切書けません。ネット広告を出すなら、飛んだ先のページもこの範囲で作ります。
自院のサイトでも、載せるべきもの・載せるべきでないもの
広告に当たらない自院のサイトについても、ガイドラインは次のように示しています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 載せるべきもの(自費の施術) | 問い合わせ先、施術の内容と通常必要な費用(決まっていなければ最低額から最高額の幅)、主なリスク・副作用、回数券を売るならその内容と契約の条件 |
| 載せるべきでないもの | 「絶対に治る」「根本治療」「〇〇に効きます」、加工したり撮影の条件を変えたりした施術前後の写真、「満足度〇%」「顧客満足度 No.1」「口コミサイトで 1 位」、都合のよい感想だけを選んで載せること、謝礼を払って書いてもらった感想、受療をあおる表現、安さを過度に強調する表現 |
名乗り方にも決まりがある
ガイドラインは、施術所の名称に「クリニック」「メディカル」「診療所」のような医療機関と紛らわしい言葉や、「整体」「カイロプラクティック」のような、あはき・柔整以外の業態と紛らわしい言葉を使えないとしています。整体やカイロプラクティックは国家資格の施術とは別の業態です。この記事の「治療院」は、国家資格の施術所を指しています。
治療院の料金ページ ─ 保険と自費を分けて書く
保険(療養費)を使う施術と自費の施術の両方がある場合は、料金ページで 2 つをはっきり分けて書きます。混ぜて書くと、来院してから「思っていた金額と違う」が起きます。
保険が使える範囲は制度で決まっている
保険の対象になる範囲は、院が自由に決められるものではありません。ガイドラインには次のように書かれています。
- 整骨院(柔道整復)で療養費の対象になるのは、外傷が明らかな骨折・脱臼・打撲・捻挫などです。骨折・脱臼の施術で療養費を申請するには、医師の同意が要ります
- 鍼灸・マッサージで療養費を申請するには、医師の同意が要ります
- 筋肉痛や肩こりなどには保険が使えないため、「どんなお客様も療養費の申請ができます」という書き方は大げさな広告にあたります
- 「各種保険取扱い」「交通事故取扱い」「労災保険取扱い」は、広告に書けない例として挙がっています
料金ページでは、保険を使う施術について「対象になるかどうかは、来院時に症状を伺って確認します」と書き、窓口で負担する費用があることを添えます。
自費の施術と回数券の書き方
| 区分 | 書いておくこと |
|---|---|
| 自費の施術 | メニューごとの料金と所要時間、何をするのか、主なリスク |
| 回数券・コース | 料金・回数・有効期限と、途中でやめた場合の扱い |
「◯回で改善」のように回数と効果を結び付ける書き方は、効果の言い切りにあたるため避けます。回数は「通えば治る目安」ではなく、料金の単位として書きます。
安心感はデザインで作れる
医療・治療のサイトのデザインは、派手さより「安心感」を目指します。安心感は、いくつかの要素に分けて作れます。
写真で、行く前に中を見せる
- 待合室・診察室・施術室の写真を多めに載せる
- 院長やスタッフの、自然な表情の写真を使う
- 入口と駐車場の写真を載せ、初めての人が迷わないようにする
読みやすさそのものが安心につながる
幅広い年齢の方が見ます。読めない・分からないは、そのまま不安になります。
- 文字を大きくし、色数を絞る(白を基調に、落ち着いた 1〜2 色)
- 専門用語に、かっこ書きで一言の説明を添える
- 1 行を短くし、余白を多めに取る
文字の大きさや色、ボタンの作り方は 高齢のお客様にも読みやすいホームページの作り方 にまとめています。

公開したあとの更新 ─ 臨時休診とお知らせ
公開後にいちばん困るのは、臨時休診を自分で直せないサイトです。全ページを編集できる必要はなく、次の 3 か所が院内で直せれば足ります。
- 診療時間・休診日(臨時休診を含む)
- お知らせ
- 予約方法が変わったときの案内文
お知らせには、年末年始やお盆の診療時間、臨時休診と代診、大雪の日の休診や時間の変更、新しいメニューを入れたときの案内などを書きます。新しいメニューの案内も、上の広告の決まりの範囲で書きます。題材は お知らせ・ブログは何を書く? に一覧があります。
費用を左右するもの
制作の費用は、ページ数、院内やスタッフの撮影を入れるか、予約システムとつなぐか、院内で更新できる仕組みを入れるかで変わります。どの作りでも、診療時間とお知らせを院内で直せる仕組みは削らないでください。ここを削ると、休診のたびに制作会社へ連絡することになります。
相場の考え方と見積もりの見方は ホームページ制作の費用相場 にまとめています。予約が中心になるという点では、美容室・サロンのホームページの作り方 も考え方が近い記事です。規制のある専門職のサイトとして、士業のホームページの作り方 も参考になります。
まとめ ─ 探しやすさと誠実さがすべて
公開前に、次の 6 点を確認してください。
- スマホでトップページを開いて、スクロールせずに今日の診療時間が見えるか
- 予約ボタンが全ページの同じ位置にあり、電話番号はタップで発信できるか
- 「初めての方へ」のページに、来院から会計までの流れが書いてあるか
- クリニックなら、体験談を載せていないか。治療前後の写真と自由診療に、費用とリスクの説明が付いているか
- 施術所なら、ネット広告から飛ぶページに経歴や施術方法を書いていないか。保険が使える範囲を正しく書いているか
- 診療時間とお知らせを、院内で更新できるか
表現の最終的な判断は、保健所や医師会・所属の団体、弁護士にご確認ください。
LIT STUDIO は札幌の Web 制作スタジオです。ホームページは 50,000 円から(5 ページまで)、ネット予約のフォームは 20,000 円から、公開後の保守は月 5,000 円で、最短 3 日で公開できます。料金の内訳は 料金ページ に、クリニック・治療院向けのご案内は クリニック・治療院の方へ にまとめています。
よくある質問
Q.医療広告の規制はホームページにも適用されますか?
Q.患者さんの体験談や治療前後の写真は載せられますか?
Q.鍼灸院や整骨院のホームページにも決まりはありますか?
Q.整骨院や鍼灸院では、保険と自費の料金をどう書けばいいですか?
Q.サイトで最優先すべき情報は何ですか?
Q.「初めての方へ」のページには、何を書けばいいですか?
Q.制作の費用は何で変わりますか?
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