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TAMARI-玉理論 · Journal · 2026-06-25

フローズンは大きく曲がらない ── v8 でコンビと貰い捻りを出した

タグ: ビリヤード · コンビ · フローズン · 貰い捻り · スロウ · TAMARI-玉理論

ここまでは手玉と的玉の1対1だった。 v8 はその先、 的玉が次の玉に当たる「コンビ (連続球)」 。 ここで効いてくるのが、 1球目が手玉から貰う捻り (貰い捻り) と、 それが2球目に伝えるスロウ。 そして フローズン (密着) 。 今回は文献をちゃんと調べてから作った。 調べたら、 自分が思ってたのとちょっと違ったんだよね。

「貰い捻り」 ── 回転はうつる

手玉を捻って的玉に当てると、 的玉は回転を少し貰う。 これが貰い捻り。 向きは手玉と逆 (歯車みたいにかみ合って逆に回る)。 で、 手玉は自分の捻りをその分だけ失う。

大事なのは、 スロウが出てるときは必ずこの貰い捻りも出てる ってこと。 スロウを生んでる「こすれ」 が、 そのまま的玉を回す力にもなってるから。 1対1だとこの貰った回転は表に出にくいけど、 コンビだと1球目が2球目に当たるときに効いてくる 。 1球目が貰った回転で、 2球目がスロウされる。

→ コンビとフローズン (連続球のスロウ) v8 を試す

フローズンの誤解 ── 調べて直した

正直に書くと、 俺は「フローズン (2球が密着) は throw がデカい」 と思ってた。 でも文献 (Dr. Dave の実測) を調べたら違った。

  • フローズンのコンビ … throw 約5.16°
  • 普通のストップショット … throw 約4.95°
  • 差は たった4% 。 Dr. Dave 本人が「大して有意でない」 と言ってる。

つまり フローズンのスロウは、 ストップショットとだいたい同じ 。 「フローズンだから大きく曲がる」 は俗説だった。 ここは思い込みで係数を盛らずに、 文献の数字に合わせた。

じゃあ何が効くのか ── 「すきま」 だった

本当に効くのは すきまの有無

  • フローズン (すきま0) … 1球目は転がる間がないまま2球目に当たる → スロウがそのまま残る。
  • すきまあり … 1球目はすきまを走るうちに 前進回転 (forward roll) を拾う → これがスロウを減らす。

だから フローズン > すきまありコンビ 。 同じ配置でも、 ちょっとすきまが空いてるだけで2球目の曲がりは減る。 これは「すきまがあると1球目が転がってからぶつかるから」 という、 言われてみれば当たり前の理屈なんだけど、 数字で見ると効き方がはっきりする。

v8 で出したもの

画面には 2球目 (赤い玉) を足した。

  • 赤い点線 = 2球目の理想線 (中心線、 throw 無し)
  • 赤い実線 = 2球目の実際の線 (throw 込み)
  • この点線と実線の開きが、 そのまま「2球目がどれだけ振られたか」

スライダーは2つ足した。

  • 2球目への厚み (cut2) … コンビ2発目の当たり厚
  • すきま (gap) … 0 でフローズン、 上げると 1球目がすきまを走る

下の数値バーには、 ① 1球目の貰い捻り (rpm) ② すきまで拾う前進回転 ③ 2球目のスロウ ④ フローズン換算との差 (%) ⑤ 2球目の速さ、 を出した。 すきまを 0 から上げていくと、 ②の前進回転が増えて、 ③のスロウが減り、 ④に「フローズンより何%減った」 が出る

デモで試してほしい 3 つ

1 個目: すきまを 0 → 開ける

cut2 を 30° くらいにして、 すきまを 0 (フローズン) からだんだん開ける。 2球目の実線が点線に近づいて (throw が減って)、 ④に「−何%」 が出るのを見てほしい。

2 個目: 横を撞いて貰い捻りを作る

横撞点を入れて手玉に捻りを与えると、 ①の貰い捻り (rpm) が増える。 それが2球目のスロウ (③) に乗ってくる。 フルヒット (cut2=0) にして、 貰い捻りだけで2球目が振られるのを見ると分かりやすい。

3 個目: フローズンはストップ相当を確認

すきま 0 で cut2 を振ると、 throw が出る。 でも「特別に大きい」 わけじゃない、 という感覚を確かめてほしい。

今回の作り方について (正直なメモ)

今回は「フローズンはいい加減に作ると教材として嘘になる」 と思って、 先に文献を調べてから実装した。 自動の調べもの (機械検証) が途中で止まったときは、 大事な主張だけ元の資料を直接読み直して裏を取ってから進めた。 「フローズン≒ストップ」 も「すきまで throw が減る」 も「貰い捻りは逆回り」 も、 全部 Dr. Dave の資料と査読論文で確認したうえで入れてる。 詳しい調査と実装の記録は別途まとめてある。

球の回転は当たった相手にうつる。 そのうつった回転が次の玉を振る。 そしてフローズンは思ったほど特別じゃない ── このあたりが v8 で目に見える形になった。

参考にしてる文献

  • Alciatore, D. (Dr. Dave) の throw / spin transfer / frozen ball の技術資料・FAQ
  • 球同士のスピン移動に関する査読論文 (arXiv:2402.13258)
  • Marlow, W. C. The Physics of Pocket Billiards (1994)
  • pooltool (物理エンジン) のドキュメント

→ コンビとフローズン (連続球のスロウ) v8 を試す