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補助金の経営計画書にホームページをどう書くか ─ 販路開拓の書き方

「古いから新しくしたい」では通りません。審査する人が見ているのは「これで誰に何をどう売るのか」です。経営計画書にホームページをどう書くか、順番と言葉の選び方を制作側から整理しました。

白紙の計画書を前に、ペンを持ったまま考え込んでいる事業主

補助金の申請でいちばん時間が掛かるのは、見積書を集めることではありません。経営計画書を書くところです。

ホームページを作りたくて申請する方の多くが、ここで手が止まります。「うちのサイトは古いので新しくしたい」と書いた後、続きが出てこないからです。

この記事では、経営計画書にホームページのことをどう書くかを整理します。制度そのものの仕組みはホームページ制作に使える補助金にまとめました。ここは、その先の「書き方」の話です。

審査する人は「ホームページが欲しい」を読んでいない

経営計画書は、制作の希望を伝える紙ではありません。「この取り組みでお客様が増える筋道」を説明する紙です。

制度の名前は「販路開拓」

ホームページ制作の費用が対象になり得る制度は、ホームページを作るための制度ではありません。新しいお客様を獲得する取り組み、つまり販路開拓を支える制度です。

そのため、審査では次のような読まれ方をします。

  • ホームページは「手段」。何のための手段かが書かれているか
  • その手段で、これまで届かなかった相手に届くのか
  • 届いた後、問い合わせや注文につながる形になっているか

サイトの見た目や技術の新しさは、ほとんど問われません。問われるのは筋道です。

読み手はあなたの会社を知らない

計画書を読む人は、あなたの会社の商品も、地域での立ち位置も知りません。社内では当たり前の前提が、紙の上では一切通じない状態です。

  • 「主力商品」と書いても、それが何を指すかは伝わらない
  • 「地元で長くやっている」だけでは、強みとして読めない
  • 業界の言葉には、意味を一言添える

知らない人が読んで筋が通るか。判断の基準は、これひとつです。

補助金の書類は「作文」ではない

上手な文章を書く必要はありません。むしろ飾りの多い文章は、中身が薄いと読まれます。

短い文で、事実と筋道だけを並べるほうが伝わります。同じ内容なら、箇条書きと表のほうが読みやすいくらいです。

机の上に並んだ複数の申請書類を、一枚ずつ読み比べている審査担当者
読む人はあなたの会社を知りません。紙の上だけで筋が通るかが見られます

落ちる書き方と通る書き方

落ちる書き方には共通点があります。主語が「自分」のまま終わっていることです。

よくある 3 つの止まり方

相談でいちばん多く見るのは、次の 3 つです。どれも嘘ではありませんが、これだけでは「お金を出すと何が起きるのか」が読み取れません。

よくある書き方なぜ弱く見えるか
古くなったので新しくしたい会社の都合の話。お客様がどう増えるかが無い
同業もホームページを持っているから他社の話。自分の販路の話になっていない
集客したい・売上を伸ばしたい望みであって、方法が書かれていない

後ろに一段足すだけで、通る形になる

3 つとも、書き直す必要はありません。後ろに一段足せば筋が通ります。

止まっている書き方一段足した書き方
古くなったので新しくしたいスマートフォンで開くと文字が小さく、料金を探す人が途中で離れている。読める形にして問い合わせにつなげる
同業も持っているから相見積もりの場面で、当社だけ実績を見せる場所が無く、比較の土俵に乗れていない。事例のページで判断材料を出す
集客したい◯◯の相談を受ける機会が少ない。◯◯に絞った説明ページと料金の目安を出し、電話の前に判断できるようにする

足したのは「今どうなっているか」と「誰の、どの行動が変わるか」の 2 つだけです。この 2 つが入ると、読む人が場面を思い浮かべられます。

「新しくする」ではなく「できるようになる」で書く

言い換えのコツは、サイトの状態ではなく、お客様の行動を主語にすることです。

  • デザインを新しくする → 初めて見た人が、扱っている範囲を最初の画面で判断できる
  • スマートフォンに対応する → 移動中に見た人が、その場で料金の目安を確認できる
  • 事例を載せる → 比較検討中の人が、似た依頼の仕上がりを見て相談に進める

左が設備の話、右がお客様の話です。計画書に書くのは、右側です。

書く順番 ─ 5つのブロックを上から埋める

白紙から書き始めず、5 つのブロックに割って上から埋めると、途中で止まりません。

ブロックの中身

順番には意味があります。上が決まらないと下が決まらない並びになっています。

順番書くことよくある失敗
1今の困りごと「集客ができていない」で終わる
2狙うお客様「幅広い層に」と書いて絞れていない
3その人に何を見せるか会社が言いたいことだけを並べる
4サイトのどの部分が担うかサイト全体でふわっと書く
5公開後に何をどう数えるか数えられない言葉を目標にする

1. 今の困りごとは「場面」で書く

「集客ができていない」ではなく、困っている場面を書きます。場面で書くと、読む人が絵を思い浮かべられます。

  • 電話で毎回同じ説明をしていて、そこに時間を取られている
  • 紹介でしか仕事が来ず、紹介が途切れると次が無い
  • 問い合わせの前に「料金がわからないので聞きづらい」と言われる

どれも社内では当たり前の話ですが、紙に書くと立派な現状分析になります。

2. 狙うお客様を絞ると、あとは全部書ける

ここがいちばん効きます。相手が決まると、3 以降はほとんど自動的に決まります。

絞り方は、3 つの軸を組み合わせるのが簡単です。

軸決めること
地域市内の一部か、通える範囲か、道内全域か
相手の種類個人のお客様か、会社か、元請けか
困っていること急いでいるのか、価格なのか、実績の確かさなのか

「幅広く多くの方に」と書くと、以降のすべてがぼやけます。狭くしても、最後まで書き切れる計画のほうが強いです。

そもそも自分の商売にホームページが要るのかを迷っている場合は、小さな会社にホームページは必要?を先に読むと、狙う相手を決めやすくなります。

3. 見せるものは「相手が知りたいこと」から選ぶ

会社が言いたいことと、お客様が知りたいことは、たいてい違います。3 に書くのは後者です。

  • 会社が言いたいこと: 創業年、代表の思い、技術のこだわり
  • お客様が知りたいこと: 頼めるかどうか、いくらか、どんな仕上がりか、誰が来るのか

思いを載せてはいけない、という話ではありません。順番の問題です。知りたいことに先に答えてから、思いを読んでもらう並びにします。

小さな事務所の机で、付箋を三列に並べ替えながら狙うお客様を絞り込んでいる事業主
地域・相手の種類・困りごとの3つで絞ると、以降のブロックが自然に決まります

サイトのどの部分が、どの役割を担うか

サイト全体でふわっと書かず、ページごとに役割を割り当てると、計画書も見積書も具体的になります。

ページと役割の対応表

割り当ての形は、業種が違ってもだいたい共通です。

ページ担う役割計画書での書き方の例
トップ何をしている会社かを一目で伝える初めて見る人が、扱っている範囲を最初の画面で判断できるようにする
サービス・商品迷っている人の判断材料を出す◯◯と◯◯の違いを並べ、自分に合うほうを選べるようにする
料金・費用の目安問い合わせ前の不安を下げる目安を出し、予算が合う人が安心して相談に進める形にする
実績・事例信用の裏付けを見せる似た内容の事例を並べ、相見積もりの場面で比較材料を出す
お問い合わせ行動を受け止める電話に加えて、営業時間外でも送れる窓口を用意する

ページ単位で書くと、見積書とつながる

ページと役割が決まると、見積書の項目もそのまま決まります。計画書に「事例のページを作る」と書いてあり、見積書に「事例ページ制作」の行があれば、読む人は突き合わせに迷いません。

問い合わせにつながるページの作り方そのものは、問い合わせが増えるホームページの作り方にまとめています。3 と 4 のブロックを書くときの材料になります。

採用のページは、この枠では説明しにくい

人手不足は切実な問題ですが、採用は販路開拓とは目的が違います。販路開拓の枠で採用ページを主役に据えると、筋が通りにくくなります。

  • 採用の話は、販路開拓の説明の中心には置かない
  • 対象経費に当たるかどうかも、その年の条件次第
  • 迷ったら、公募要領と商工会議所・商工会の窓口で確認する
紙にサイトの構成図を描き、四角ひとつずつに役割を書き込んでいる手元
ページごとに役割を割り当てると、計画書の言葉と見積書の行がそのまま対応します

公開後に何をどう数えるか

数えるものは「自分で数えられるもの」だけにします。手元で確認できない数字は、実績報告のときに困ります。

書ける数字・書かないほうがよい数字

判断は単純です。公開の翌月に、自分で数えられるかどうかで分けます。

数字扱い
問い合わせフォームの件数書ける。受信メールが残るので後から数えられる
電話の件数書ける。受付のメモを取る決まりにすれば数えられる
見積提出の件数・成約の件数書ける。多くの会社が既に社内で把握している
サイトの閲覧数書ける。無料の解析を入れておけば取れる
認知度・ブランド力書かない。数えようがない
業界全体の市場規模書かない。自分の取り組みと結び付かない

数え方も一緒に書く

数字だけ書くと「どうやって確かめるのか」が抜けます。数え方をひと言添えると、計画として締まります。

  • 問い合わせフォーム: 受信メールを月ごとに数える
  • 電話: 受付簿に「ホームページを見て」の有無を記録する
  • 閲覧数: 無料のアクセス解析を、公開と同時に入れておく

公開してから慌てないよう、数える仕組みは制作の段階で頼んでおきます。後から入れると、公開直後の数字が残りません。

今の数を先に持っておく

増える計画を書くには、今の数が要ります。分からない場合は、申請の準備と並行して数え始めれば十分です。

  • 今月の問い合わせが何件かを、まず数える
  • 電話とフォームを分けて記録する
  • どこを見て連絡してきたかを、一言聞いて残す
卓上のノートに、その月の問い合わせ件数を手書きで書き足している事業主
数えられる数字だけを書く。数え方まで書くと、実績報告のときに困りません

ホームページだけでは申請できない年度がある

ウェブサイト関連費だけでは申請できない年度があります。他の取り組みと組み合わせる前提で組むと、後から作り直さずに済みます。

条件の存在だけ、先に知っておく

制度によっては、ウェブサイトに関する経費に上限や割合の条件が付きます。また、その経費だけでは申請できない運用になっている年度もあります。

  • ウェブサイト関連費に、上限や割合の条件が付くことがある
  • ウェブサイト関連費だけの申請が認められない年度がある
  • これらの条件は年度ごとに変わる

具体的な割合や上限は、その年の公募要領を見ないと分かりません。中小企業庁や各制度の事務局が公開している最新の公募要領を必ず確認してください。商工会議所・商工会の窓口でも、その年の条件を教えてもらえます。

組み合わせやすい取り組み

一緒に組む取り組みは、同じお客様に向いているものを選ぶと、計画書の筋が一本になります。

  • 紙の案内やチラシを作り直し、サイトへの導線を入れる
  • 展示会や地域の催しに出て、その場で見せる資料を揃える
  • 店舗や車両の表示を作り直し、問い合わせ先を統一する
  • 写真の撮影を入れ、サイトと印刷物の両方で使う

ばらばらの取り組みを並べると「何のためか」が散ります。狙うお客様が同じなら、数が少なくても筋は通ります。

「同じ相手に、別の入口から届く」形が書きやすい

チラシで知った人がサイトで確かめる。催しで会った人が、後からサイトで料金を見る。この並びなら、取り組み同士のつながりを一文で説明できます。

申請そのものの流れは小規模事業者持続化補助金でホームページを作るで説明しています。あわせて読むと、書く作業と出す作業の全体像がつかめます。

見積書と計画書のつじつまを合わせる

計画書に書いた取り組みと、見積書の項目が対応していないと、そこで引っ掛かります。

見積書は「一式」を避ける

「ホームページ制作一式」とだけ書かれた見積書は、計画書と対応が取れません。実績報告でも「何にいくら使ったか」を示しにくくなります。

  • ページごと、作業ごとに行を分けてもらう
  • 計画書で挙げた役割が、見積書の行として見えるようにする
  • 補助金に使う予定があることを、見積を頼む段階で伝える

3 つの書類で同じ言葉を使う

計画書・見積書・実績報告の 3 つで、同じものを別の名前で呼ばないようにします。呼び名がずれるだけで、読む人は突き合わせに手間取ります。

書類書くこと揃えるところ
経営計画書何のために何を作るかページの呼び名を決める
見積書いくら掛かるか計画書と同じ呼び名で行を立てる
実績報告何を作り、どうなったか計画書に書いた数え方で数字を出す

制作会社に渡しておくとよいもの

見積を頼むときは、計画書の下書きを一緒に渡すと早く進みます。渡すのは、決まった 3 つだけで十分です。

  • 狙うお客様(ブロック 2 で決めたもの)
  • ページごとの役割(ブロック 4 で決めたもの)
  • 数える予定の数字(ブロック 5 で決めたもの)

この 3 つがあれば、見積書の行が計画書と自然に対応します。伝えないまま見積だけ頼むと、後から書き直しになりがちです。

まとめ ─ 提出前のチェックリスト

書き上がったら、出す前に次の 6 点を確かめてください。

  • 「ホームページが欲しい理由」ではなく「誰に何をどう売るか」で書けているか
  • 狙うお客様を、地域・相手の種類・困りごとの 3 つで絞ったか
  • ページごとに役割を割り当て、計画書の言葉と揃えたか
  • 書いた数字は自分で数えられるものだけか。数え方も書いたか
  • ウェブサイト関連費の条件を、その年の公募要領で確認したか
  • 見積書の行が「一式」になっておらず、計画書と対応しているか

最後に一つ。計画書を書く作業は面倒ですが、書き上がったものは補助金のためだけの紙ではありません。

狙うお客様とページの役割が決まっていれば、それはそのままサイトの設計図です。採択されなかったとしても、設計図は手元に残ります。

だから「補助金のために書く」のではなく「サイトを作るために書いて、ついでに申請にも使う」と考えると、手が動きやすくなります。

計画書の下書きを見ながらのお見積もりのご相談も、お問い合わせから承っています。

よくある質問

Q.経営計画書に「ホームページを新しくしたい」と書くだけでは駄目ですか?
書いてはいけないわけではありませんが、それだけだと弱く見えます。制度は販路開拓(新しいお客様を獲得する取り組み)を支えるものなので、読む人は「これで誰に何をどう売るのか」を探しています。「今どうなっているか」と「誰の、どの行動が変わるか」を一段足すと、同じ内容でも筋が通ります。
Q.狙うお客様は、どこまで絞ればよいですか?
地域・相手の種類(個人か会社か元請けか)・困っていること、の3つの軸で決められる程度まで絞ると書きやすくなります。「幅広く多くの方に」と書くと、見せるものもページの役割もぼやけます。狭くしても、最後まで書き切れる計画のほうが強いです。
Q.目標の数字は何を書けばよいですか?
自分で数えられるものだけにしてください。問い合わせフォームの件数、電話の件数、見積提出や成約の件数、サイトの閲覧数などです。認知度やブランド力のように数えようがないものは書きません。数字と一緒に「どうやって数えるか」も書いておくと、後の実績報告で困りません。
Q.ホームページの制作費だけで申請できますか?
年度によっては、ウェブサイト関連費だけでは申請できない運用になっています。上限や割合の条件が付く場合もあります。条件は年度ごとに変わるため、中小企業庁や各制度の事務局が公開している最新の公募要領を確認してください。商工会議所・商工会の窓口でも、その年の条件を教えてもらえます。
Q.見積書は制作会社にどう頼めばよいですか?
「一式」ではなく、ページごと・作業ごとに行を分けてもらってください。計画書で挙げた役割が見積書の行として見える形にしておくと、書類どうしの突き合わせが楽になります。補助金に使う予定があることは、見積を頼む段階で伝えておくと手戻りが減ります。

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