持続化補助金でホームページを作る ─ 申請の流れとウェブサイト関連費
持続化補助金は「ホームページ補助金」ではなく販路開拓の補助金です。申請から入金までの順番、ウェブサイト関連費に付く条件、通りにくくなる原因、見積書の頼み方を制作側から整理しました。

「補助金でホームページを作れますか」── 札幌の事業者様から、よくいただくご相談です。
小規模事業者持続化補助金は、その候補になる代表的な制度です。ただしこの制度は「ホームページを作るための補助金」ではありません。
正しくは、販路開拓(新しいお客様を獲得する取り組み)を支える制度です。ホームページ制作費は、その取り組みの手段の一つとして対象に入り得る、という位置づけになります。
この違いを知らないまま申請書を書くと、書きたいことと審査で見られることがずれます。そして、ずれたまま提出した書類は通りません。
この記事では制作側の立場から、申請から入金までの順番・商工会議所との関わり方・必要な書類・見積書の頼み方までを順に整理します。
制度の金額や条件は年度ごとに変わります。ここでは「仕組みと順番」に絞って書きますので、具体的な条件は必ず最新の公募要領で確認してください。
「ホームページ補助金」ではなく「販路開拓の補助金」
審査で見られているのは「ホームページを作るかどうか」ではなく、「そのホームページで誰に何を売り、どう売上を伸ばすか」です。
制度が支えているのは取り組みであって、モノではない
小規模事業者持続化補助金は、小さな会社やお店が新しいお客様を獲得する取り組みに使った費用の一部を補助する制度です。
ホームページ、チラシ、展示会への出展、新しい設備。手段はいろいろありますが、共通しているのは「販路開拓のためにやること」という点です。
つまりホームページは目的ではなく、手段の一つとして書類に登場します。ここを取り違えると、申請書が「作りたいものの説明」で終わってしまいます。
補助の基本的な形
補助の額と割合は、年度と申請の枠によって変わります。基本の形は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 2/3 が基本 |
| 補助額の上限 | 50〜200万円(申請の枠による) |
| 対象になる事業者 | 従業員数の少ない小規模事業者(業種により 5〜20 人以下が目安) |
| 使い道 | 販路開拓(新しいお客様を獲得する取り組み) |
例えば 60 万円のホームページ制作なら、補助率 2/3 で最大 40 万円、自己負担は 20 万円という計算になります。ただしこれは採択され、実績報告まで通った場合の話です。
「ホームページを作りたい」は計画ではない
申請には経営計画書が要ります。そこで説明するのは、次の 3 つです。
- 誰に売るのか(今のお客様か、まだ来ていないお客様か)
- 何を売るのか(既存の商品・サービスか、新しく出すものか)
- そのホームページで、どう売上を伸ばすのか
「今どきホームページが無いと恥ずかしいので」では、この 3 つのどれにも答えていません。一方「今は電話でしか受けられていない見積依頼を、フォームで夜間も受けられるようにする」なら、3 つ目に答えています。
筋道は業種によって違います。建設・工務店なら施工事例を見せて相談につなげる形、飲食店なら予約や問い合わせにつなげる形が、説明しやすい筋道です。

制度の全体像(IT導入補助金や自治体の制度との違いを含む)は、ホームページ制作に使える補助金にまとめています。この記事は、その中の持続化補助金だけを掘り下げたものです。
ウェブサイト関連費という区分の注意点
ホームページ制作費は「ウェブサイト関連費」という経費の区分に入り、他の経費とは違う条件が付いています。
経費には区分がある
補助金では、使ったお金を「何の費用か」で区分して申請します。機械の購入、チラシの印刷、展示会の出展料、そしてホームページなどのウェブサイト関連費。
区分ごとに「対象になるもの・ならないもの」の線引きがあります。同じ「ホームページのため」に使ったお金でも、区分が違えば扱いも変わります。
上限や割合の条件が付いている
ウェブサイト関連費には、他の区分に無い条件が付くことがあります。代表的なのは次の 2 つです。
- 補助される金額の全体のうち、この区分に使える割合に上限が設けられる
- ウェブサイト関連費だけでは申請できない年度がある(他の販路開拓の取り組みとの組み合わせが必要になる)
つまり「制作費の 2/3 がそのまま戻る」と単純計算できない場合があります。割合の条件に当たると、戻る額は計算より小さくなります。
具体的な数字は公募要領でしか分からない
この条件は年度ごとに見直されます。ここで具体的な割合を書いても、あなたが申請する年度には当てはまらない可能性があります。
だからこの記事では、条件の「存在」だけをお伝えします。実際の数字は、その年の公募要領で確認してください。
制作会社に「補助金を使う」と先に伝える
ウェブサイト関連費に条件が付くことを知らない制作会社もあります。相談のいちばん最初に「持続化補助金を使う予定です」と伝えてください。
- 見積書の作り方を、実績報告でそのまま使える形に合わせてもらえる
- 制作費と、公開後に毎月かかる費用を分けて書いてもらえる
- 発注のタイミングを、採択の後にそろえてもらえる
この一言があるかないかで、後の書類仕事の量が変わります。
申請から入金までの順番 ─ お金は最後に戻る
順番を一言でいうと「計画・申請 → 採択 → 発注 → 支払い → 報告 → 入金」です。制作費を払うのは、補助金が入るよりずっと前になります。
全体の流れ
どこで時間とお金が要るかを、先に通しで見ておきます。
- 商工会議所・商工会に相談し、その年の条件を確認する
- 経営計画書などの申請書類を作る
- 公募期間中に申請する
- 採択の発表を待つ(数か月かかる)
- 採択決定の後に、制作会社へ発注する
- 制作費を全額支払い、サイトを公開する
- 実績報告を提出し、証拠書類を保管する
- 報告が認められた後に、補助分が振り込まれる

立て替えが必要だということ
4 と 8 の間には数か月の開きがあります。その間、制作費は全額を自分で払った状態です。
60 万円の制作なら、まず 60 万円を払い、後から 40 万円が戻る形になります。「補助金が入ってから制作会社に払う」という順番にはできません。
- 制作費の全額を立て替えられる手元資金があるか
- 立て替えている間、他の支払いが詰まらないか
この 2 つを先に確かめておくと、採択の後で慌てずに済みます。
発注は採択の後
原則として、発注は採択決定の後です。先に作り始めたものは対象になりません。
「先に作って、通ったら申請する」はできない、と覚えておいてください。この順番が、次の「公開したい時期」の話につながります。
公開したい時期から逆算する
採択の発表まで数か月。制作が始まるのはその後です。公開したい時期が決まっているなら、間に合うかを最初に考えてください。
- 間に合うなら、補助金を前提に進めてよい
- 間に合わないなら、補助金なしで進める判断も選択肢に入れる
「補助金を待つ間、ホームページが無いまま数か月過ごす」ことが本当に得かどうかは、案件によって答えが変わります。今それで失っている問い合わせがあるなら、待つこと自体にも費用が掛かっている、という見方ができます。
商工会議所・商工会との関わり方
この制度は、商工会議所・商工会の支援を受けながら申請する建て付けです。書類を出しに行く窓口ではなく、計画を一緒に作る相手だと考えてください。
何を相談できるか
- その年の条件で、自分の会社が対象になるか
- 経営計画書の書き方(何を書けば伝わるか)
- ウェブサイト関連費の扱いが、その年どうなっているか
札幌市内の事業者なら、札幌商工会議所が最初の相談先になります。地域によっては、地元の商工会が窓口です。
制作会社に見積を頼む前に一度相談する
順番として、制作会社より先に商工会議所・商工会へ行くと手戻りが減ります。理由は単純で、「その年に何が対象になるか」が先に分かるからです。
例えば、ウェブサイト関連費だけでは申請できない年度なら、他の取り組みと組み合わせた計画にする必要があります。それが分かってから制作の相談をすれば、見積の作り直しが要りません。
逆の順番でやると、せっかく作った見積が計画に合わず、もう一度お願いすることになります。
支援機関が出す書類が要る
申請書類には、商工会議所・商工会が出す書類が含まれます。これは自分では用意できません。
相談してすぐ出るものではないため、計画の相談から書類が整うまでの時間も見ておいてください。書類の名称や様式は年度によって変わるので、必要なものはその年の公募要領と窓口で確認するのが確実です。
申請と報告に必要な書類の種類
書類は「申請のときに出すもの」と「制作が終わった後に出すもの」の 2 段階に分かれます。
申請のときに出すもの
様式も名称も年度によって変わるため、ここでは種類だけを挙げます。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 経営計画・補助事業計画の書類 | 誰に何を売り、どう販路を広げるかの説明 |
| 支援機関が出す書類 | 商工会議所・商工会に依頼して発行してもらうもの |
| 事業の状況が分かる書類 | 決算書や確定申告の控えなど |
| 見積書 | 発注予定の制作会社から取るもの |
制作が終わった後に出すもの
採択されたら終わり、ではありません。実際に使った証拠を出して、初めて入金されます。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 実績報告の書類 | 計画どおりに実施したかの報告 |
| 請求書・領収書・振込の控え | 「何にいくら払ったか」を示すもの |
| 成果物が確認できるもの | 公開したサイトの画面など |

証拠書類は後からは作れない
見積書・請求書・領収書・振込の控えは、後からまとめて用意しようとすると必ず抜けが出ます。制作の途中から、少しずつ揃えておいてください。
- 制作会社とやり取りした書類は、その都度ファイルにまとめる
- 振込の控えは、通帳の記帳やネットバンキングの画面を保存しておく
- サイトの画面は、公開した直後に保存しておく
様式は必ずその年のものを使う
古い年度の様式や、他人のブログに載っている記入例をそのまま使うと、出し直しになります。
様式は必ず、その年の公募要領と一緒に公開されているものを使ってください。書き方に迷ったときも、記入例はその年の公開資料の中を探すのが確実です。
制作会社に頼むときの見積書の作り方
実績報告では「何にいくら使ったか」を示します。見積書は、そのときにそのまま使える形でもらっておくのが安全です。
「一式」ではなく項目ごとに
「ホームページ制作一式 60 万円」とだけ書かれた見積書は、報告のときに中身を説明できません。項目ごとに金額が分かる形でもらってください。
- 企画・構成(何ページ作り、どう並べるか)
- デザイン(見た目の設計)
- 実装(ブラウザで動く形にする作業)
- CMS(お知らせを自分で更新できる仕組み)
- 原稿・写真
項目の意味と「一式」の読み方は、ホームページ制作の見積書の見方で詳しく説明しています。

制作費と、公開後に続く費用を分ける
ホームページには、作るときの費用と、公開後に毎月かかる費用があります。
- 制作費: 一度きり
- サーバー代・ドメイン代・保守費: 公開後も続く
この 2 つは性格が違うため、見積書でも分けて書いてもらってください。補助の対象になる範囲は年度によって変わりますが、分かれていれば、その年の条件に合わせて説明できます。
金額を先に決めてから計画を作らない
「上限が 50 万円だから、50 万円ぶんの見積を作ってほしい」という頼み方は、順番が逆です。
必要なサイトの規模が先にあり、その見積があり、そこに補助の条件を当てはめる。この順番なら、計画書の説明も自然になります。
制作費の相場観はホームページ制作の費用相場にまとめています。参考までに、LIT STUDIO は AI との共同開発で 15万円〜・最短 1 週間のホームページ制作を行っており、料金は料金ページで公開しています。
原稿と写真を自分で用意すると計画も書きやすい
原稿と写真を自分で用意すると、制作費が下がるだけでなく、計画書も書きやすくなります。
「何を載せるか」を自分の言葉で整理した内容が、そのまま「誰に何を売るか」の説明になるからです。書きながら、自分の強みを言葉にする作業にもなります。
何を揃えればよいかは、ホームページ発注前の準備リストにまとめています。
通りにくくなる申請にありがちな原因
通りにくい申請書に共通しているのは、「ホームページの説明」になっていて「販路開拓の説明」になっていないことです。
1. 手段の話だけで終わっている
「スマホ対応にする」「デザインを新しくする」は手段の説明です。その先に誰が来て、何が売れるのかが書かれていないと、審査する人は判断できません。
手段を書いたら、必ずその後ろに「だから誰が来る」を続けてください。
2. 今のお客様の話しか書いていない
販路開拓は「新しいお客様を獲得する取り組み」です。既存のお客様が便利になる話だけでは、販路が広がる説明になりません。
- 今は届いていない地域・業種・年齢層のどこに届かせるのか
- そのお客様は、今どこで同じものを買っているのか
この 2 つが書けると、計画が「販路開拓」の形になります。
3. 数字の裏付けが自分の中にもない
「問い合わせが増えます」だけでは、どのくらい増えるのかが分かりません。今どれだけ問い合わせがあり、そのうち何件が仕事になっているか。自社の数字を書き出しておくと、計画の説得力が変わります。
数字が無い場合は、無いなりに「今は数えていない」と把握しておくことが出発点になります。
4. 補助金の条件を確認しないまま書類を作った
ウェブサイト関連費の条件に気付かないまま、制作費だけの計画を作ってしまう。これは、商工会議所・商工会に先に相談すれば避けられます。
5. 順番を守っていない
採択の前に発注してしまった、証拠書類を残していなかった。こうした書類の不備は、計画の中身と関係なく結果を左右します。
近道は「自分で説明できる計画」にすること
計画書は、誰かに代わりに書いてもらえば通る、というものではありません。実際に取り組むのは自分だからです。
- 自分の言葉で、誰に何を売るかを言えるか
- ホームページが、そのどこに効くかを言えるか
この 2 つを人に説明できる状態になっていれば、書類の形はあとから整えられます。逆に、ここが曖昧なまま体裁だけ整えても、読む人には伝わりません。
まとめ ─ 補助金ありきで公開時期を決めない
最後に、申請を考える前に確認しておきたいことをチェックリストにまとめます。
- 「ホームページを作る」ではなく「誰に何を売るか」で計画を説明できる
- 制作会社より先に、商工会議所・商工会でその年の条件を確認した
- ウェブサイト関連費の上限・割合の条件を、最新の公募要領で確認した
- 制作費を全額立て替えられる手元資金がある
- 見積書を「一式」ではなく、項目ごとに金額が分かる形でもらった
- 補助金が通らなかった場合でも成立する計画になっている
補助金は、使えれば負担を大きく減らせる制度です。ただし主役はあくまで「そのサイトで何を実現するか」にあります。
計画が先、補助金は後。この順番で考えると、公開の時期も資金繰りも狂いません。
補助金を使う前提での制作についても、お問い合わせからご相談いただけます。見積書の形についてのご相談だけでも構いません。
よくある質問
Q.持続化補助金は、ホームページ制作だけでも申請できますか?
Q.補助金が入ってから制作会社に支払うことはできますか?
Q.制作会社と商工会議所、どちらに先に相談すべきですか?
Q.採択される前にホームページを作り始めてもよいですか?
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