ホームページの原稿の書き方 ─ 会社概要・サービス・代表挨拶の型
原稿は文章力ではなく、ページごとの型に情報を埋める作業です。会社概要の8項目、サービス紹介の4つの問い、代表挨拶の3段構えを穴埋めの形で解説。誰にでも当てはまる言葉の直し方もまとめました。

「ホームページを作りましょう」と話が決まったあと、いちばん多くの案件が止まるのは原稿です。デザインでも予算でもありません。
制作側から「会社概要とサービス紹介の文章をください」と言われて、白紙のまま数週間。これはよくあることです。ふだん文章を書く仕事をしていないのだから、当然だと思っています。
この記事では、ページごとの「型」を穴埋めの形で並べます。ゼロから考えるのをやめて、埋めていく作業に変えてしまうのが目的です。
原稿は「上手な文章」ではなく「型に埋める情報」
原稿で必要なのは上手な文章ではなく、ページごとに決まった情報です。型を先に用意すれば、書く作業は「埋める作業」に変わります。
原稿で手が止まる理由は 3 つ
相談を受けていて、止まる理由はだいたい次の 3 つに収まります。
- 白紙から書き始めようとしている
- 「立派な文章」にしようとして、一文目が決まらない
- 何ページ分・どれくらいの量が要るのか分かっていない
3 つめは、こちらの説明不足でもあります。量の目安が分かるだけで、手が動き出す方は多いです。
原稿が揃わないと、デザインも実装も先に進めません。公開までの工程のどこで原稿が要るのかは、ホームページ制作の流れと期間で確認できます。
ページごとに書くことの芯と量の目安
まず全体像を表にします。文字数は目安で、多ければよいものではありません。
| ページ | 書くことの芯 | 量の目安 |
|---|---|---|
| トップページ | 何屋で、誰に、何ができるか | 200〜400 字程度 |
| 会社概要 | 実在と連絡先が確認できる情報 | 項目を埋めるだけ |
| サービス紹介 | 何を・誰に・いくらで・どう進むか | 1 サービス 400〜800 字程度 |
| 代表挨拶 | なぜこの仕事をしているか、何を約束するか | 300〜500 字程度 |
| よくある質問 | 実際に聞かれたこと 5〜10 個 | 1 問 100 字程度 |
| 実績・事例 | 条件(業種・規模・内容・結果) | 1 件 200〜400 字程度 |
この表の右端を見ると分かるとおり、一度に書く量はどれも多くありません。「1 ページまるごと」ではなく「1 項目ずつ」で区切ると進みます。
書く前に 1 行だけ決めておく
型を埋める前に、「このサイトを誰に読んでほしいか」を 1 行で決めてください。
- 「◯◯でお困りの、◯◯市内の◯◯業の方」くらいの粒度で十分です
- 迷ったら、直近で契約になったお客様を 1 人思い浮かべて、その人に向けて書きます
読み手が決まると、書く言葉が自然に絞られます。逆にここが「みなさま」のままだと、次の章以降の型を埋めても、ぼんやりした文章になりがちです。

書き出しで手が止まらない 2 つのコツ
白紙から書かず、「お客様に実際に聞かれた質問」と「話し言葉の録音」から始めると、たいてい動き出します。
コツ 1 ─ お客様に実際に聞かれた質問から書く
いちばん確実なのがこれです。電話やメールで繰り返し説明していることを、思い出して書き出します。
- 制限時間を 15 分と決めて、質問を 10 個書き出す
- 上手にまとめようとせず、聞かれた言葉のまま書く
- 答えは 1 行でよい。整えるのは後
この 10 個は、そのまま「よくある質問」のページになります。さらに、質問の中身を分解すると、サービス紹介に書くべきことがほぼ出そろいます。
なぜこれが効くかというと、質問は お客様が実際に知りたかったこと だからです。こちらが「言いたいこと」より、確実に読まれます。
コツ 2 ─ 話し言葉で 3 分録音して起こす
書くのが苦手でも、話すのは得意という方は多いです。その場合はスマホの録音アプリを使います。
- 誰かに「うちは何をやっている会社ですか」と聞いてもらう
- 3 分、思いつくまま話す
- 録音を文字に起こす(スマホの文字起こし機能や AI に任せてよい)
- 起こした文から、繰り返し出てきた言葉に印を付ける
話し言葉のほうが、具体的な言葉が出てきます。「安心です」ではなく「作業前に写真を撮ってお見せしています」のような、中身のある一言が録音には残ります。
書く順番は「サービス」から。トップページは最後
トップページから書き始めると、ほぼ確実に詰まります。トップは他のページの要約だからです。
- サービス紹介(いちばん情報を持っている)
- よくある質問(コツ 1 で書き出した 10 個)
- 会社概要(項目を埋めるだけ)
- 実績・事例(出せる範囲で)
- 代表挨拶(全体が見えてから)
- トップページ(ここまでの要約を並べる)
何を揃えればよいかの全体像は、ホームページ発注前の準備リストにまとめています。写真や参考サイトも含めた一覧です。

会社概要の型 ─ 迷わず埋められる 8 項目
会社概要は考えて書くページではなく、決まった項目を正確に埋めるページです。ここで悩む必要はありません。
埋める 8 項目
| 項目 | 書く内容 | ひとこと |
|---|---|---|
| 社名 | 登記どおりの正式表記 | 「(株)」ではなく「株式会社」で書く |
| 代表者名 | 氏名 | ふりがなを添えると読み間違いが減る |
| 所在地 | 郵便番号から番地・建物名まで | 地図を載せるなら表記を合わせる |
| 連絡先 | 電話番号・メール・受付時間 | 電話に出られる時間帯も書く |
| 設立年月 | 創業と設立が違うなら両方 | 続いている年数は信頼につながる |
| 事業内容 | 実際にやっていることを箇条書き | 3〜6 個が読みやすい |
| 営業時間・定休日 | 曜日と時間 | 年末年始など例外があれば添える |
| 対応エリア | 市区町村名で具体的に | 「北海道全域」より「◯◯市と近郊」 |
業種によっては、ここに 許認可の番号や資格 を足せます。建設業許可、古物商許可、警備業認定、有資格者の人数などです。持っているなら必ず書いてください。お客様が業者を比べるとき、はっきりした判断材料になります。
「事業内容」だけは箇条書きにする
8 項目のうち、唯一書き方に幅があるのが事業内容です。長い一文にせず、箇条書きにします。
- ◯◯の◯◯(例: 「◯◯の設置・修理」のように動詞まで書く)
- 上から「売上の大きい順」または「いちばん頼んでほしい順」に並べる
- やっていないことは書かない(問い合わせ対応の手間になります)
住所を出したくない場合
自宅を事務所にしている個人事業主の方から、よく相談を受けます。
サービス紹介の型 ─ 4 つの問いに答える
サービス紹介は「何を・誰に・いくらで・どう進むか」の 4 つに答えれば、それだけで形になります。
4 つの問いと穴埋め
| 問い | 書くこと | 穴埋めの形 |
|---|---|---|
| 何を | 提供している内容 | 「◯◯の◯◯を行っています」 |
| 誰に | 想定しているお客様 | 「◯◯でお困りの、◯◯の方向けです」 |
| いくらで | 料金または料金の考え方 | 「◯◯円〜/◯◯の場合は◯◯円程度」 |
| どう進むか | 依頼から完了までの流れ | 「お問い合わせ → ◯◯ → ◯◯ → 完了」 |
この 4 つが埋まっていないサービスページは、読んだ人が「自分向けかどうか」を判断できません。判断できないと、問い合わせは来ません。
料金は「幅」か「例」だけでも出す
現場を見ないと金額が出せない業種はたくさんあります。それでも、何も書かないのは一番もったいない選び方です。
- 「◯◯の場合は◯◯円から」のように 下限だけ を出す
- 「先月の実例では、◯◯の内容で◯◯円ほどでした」と例を 1 つ出す
- 「現地確認とお見積もりは無料です」と、金額が出るまでの流れを書く
料金の載せ方をどこまで踏み込むかは、問い合わせが増えるホームページの作り方に載せ方のパターンをまとめています。
流れは番号で書く
「どう進むか」は文章にせず、番号付きで並べます。次の形をそのまま使えます。
- お問い合わせ(電話・フォーム)
- ご相談・現地確認(◯◯日以内にご連絡します)
- お見積もりの提出
- ご契約・日程の決定
- 作業・納品
- 完了確認・アフター対応
各行に「誰が何をするか」を一言添えると、さらに親切になります。お客様側の手間(立ち会いが要るか、何を用意するか)が書いてあると、迷いが減ります。
1 サービス 1 ページにするか、まとめるか
サービスが複数あるとき、分けるか 1 ページにまとめるかで迷います。判断はこの 2 点でつきます。
- そのサービスだけで検索されそうなら、独立したページにする
- 説明が 400 字に満たないなら、1 ページにまとめて見出しで区切る

代表挨拶の型 ─ 自慢ではなく「約束」を書く
代表挨拶は経歴の自慢ではなく、「なぜこの仕事をしているか」と「お客様に何を約束するか」の 2 つが芯です。
3 段構えで書く
次の 3 つを、この順番で 1 段落ずつ書きます。合計 300〜500 字程度で十分です。
- きっかけ ─ なぜこの仕事を始めたか、いつからやっているか
- 大事にしていること ─ 判断に迷ったとき、何を優先しているか
- 約束 ─ 読んでいる人に、これから何をするか
穴埋めの形
そのまま埋められる形にすると、次のようになります。
- 「◯◯年に、◯◯として働き始めました」
- 「その中で、◯◯という場面で困っているお客様を何度も見てきました」
- 「だから当社では、◯◯を必ず行うことにしています」
- 「◯◯でお困りのときは、まずご相談ください」
4 行埋めるだけで、骨格はできあがります。あとは制作側が文章として整えます。
顔写真はできれば入れる
代表挨拶のページは、顔写真の有無で印象が大きく変わります。特に、初めて取引する相手を選ぶ場面では差が出ます。
- 正面から、明るい場所で撮れば、スマホの写真で十分です
- 作業着・制服など、ふだんの格好のほうが伝わることも多いです
よくある質問と実績の型
よくある質問は「実際に聞かれたこと」だけを、実績は「条件」を書くと効きます。どちらも作文の要素はほとんどありません。
よくある質問は 5〜10 個から
書き出しのコツ 1 で出した質問を、そのまま使います。並べるときの決まりは 3 つです。
- 質問は、お客様が使った言葉のまま書く(業界の言い換えをしない)
- 答えは結論から書き、必要なら理由を 1 文足す
- 「できないこと」も正直に書く
3 つめを嫌がる方がいますが、逆です。断る条件が書いてあると、合わない問い合わせが減り、対応の手間が減ります。
| 切り口 | 質問の例 |
|---|---|
| 料金 | 「見積もりは無料ですか」「追加料金は出ますか」 |
| エリア | 「◯◯市まで来てもらえますか」 |
| 期間 | 「頼んでからどれくらいで来られますか」 |
| 支払い | 「支払いはいつですか」「カードは使えますか」 |
| 対応範囲 | 「◯◯もお願いできますか」 |
| アフター | 「終わったあとに不具合が出たらどうなりますか」 |
実績は「条件」を書くと比べられる
実績は写真を並べるだけになりがちですが、条件が書いてあると読む人が自分に当てはめられます。
| 書く項目 | 例 |
|---|---|
| お客様の業種・規模 | 「◯◯業・従業員◯名」 |
| 依頼の内容 | 「◯◯が◯◯だったため、◯◯を依頼」 |
| やったこと | 「◯◯を◯◯に変更」 |
| 期間 | 「◯◯日間」 |
| 費用の幅 | 「◯◯万円台」 |
| 結果 | 「◯◯が◯◯になった」 |
社名を出せない案件のほうが多いはずです。その場合は「◯◯業・従業員◯名」のように、業種と規模だけ に置き換えれば載せられます。お客様に確認したうえで書いてください。
実績が少ない時期は、お知らせやブログで日々の仕事を書くほうが早く形になります。題材の探し方は、お知らせ・ブログは何を書く?にまとめています。

やってはいけない書き方 3 つ
原稿が読まれない原因は、たいてい「誰にでも当てはまる言葉」「専門語の丸投げ」「自慢だけ」の 3 つです。
1. 誰にでも当てはまる言葉
いちばん多いのがこれです。「地域密着」「丁寧な対応」「お客様第一」は、同業の誰が書いても成立します。
置き換え方を表にしました。共通しているのは、数字か手順に変えることです。
| よくある言葉 | 置き換える方向 | 書き換えの例 |
|---|---|---|
| 地域密着 | 範囲と速さを数字で | 「◯◯市を中心に、片道◯分以内なら当日伺います」 |
| 丁寧な対応 | 具体的な手順で | 「作業前に◯◯を写真で撮り、お見せしてから始めます」 |
| 高品質 | 資格や検査の中身で | 「◯◯の資格を持つ者が、1 件ごとに◯◯を確認します」 |
| 豊富な実績 | 件数と年数で | 「◯◯年から、◯◯を年間◯件ほど手がけています」 |
自分で確かめる方法があります。その一文を、同業の他社サイトにそのまま貼れるか を考えてみてください。貼れてしまうなら、書き直したほうがよい文です。
2. 専門語の丸投げ
業界で毎日使っている言葉は、お客様には初耳のことがあります。書いた本人は気付きにくいところです。
- 専門語を使うときは、初めて出たところで一言だけ補足する
- 型番・規格名だけを並べない(何ができるのかを添える)
- 社内の略語は使わない
判断に困ったら、その仕事に関係のない家族に読んでもらうのが早いです。止まった場所が、補足の要る場所です。
3. 自慢だけで、読む人の困りごとが出てこない
「当社は◯◯ができます」が続くページは、読んでいて手応えがありません。主語をひっくり返すと直ります。
- 前: 「当社は◯◯の設備を保有しています」
- 後: 「◯◯でお困りのとき、当社の◯◯の設備で対応できます」
書けることは同じでも、読む人が自分の話として読めるかどうかが変わります。
まとめ ─ 原稿づくりのチェックリスト
書き終わったら、次の 6 点を確認してください。全部埋まっていれば、制作側は十分に動けます。
- 「誰に読んでほしいか」を 1 行で決めたか
- 会社概要の 8 項目が、正式表記で埋まっているか
- サービスごとに「何を・誰に・いくらで・どう進むか」の 4 つが書いてあるか
- 代表挨拶に「きっかけ・大事にしていること・約束」の 3 つがあるか
- よくある質問が 5 個以上あり、断る条件も書いてあるか
- 同業他社がそのまま貼れてしまう文が残っていないか
最後にひとつ。原稿は完璧でなくて構いません。箇条書きのメモでも、録音の文字起こしでも、制作側は形にできます。
逆に、こちらから絶対に出せないのが「事業の中身」と「強み」です。ここだけは社内から出していただく必要があります。何をどう聞き出せばよいかも含めて手伝えますので、書き出しで止まったらお問い合わせからご相談ください。
よくある質問
Q.ホームページの原稿は、どれくらいの量を書けばいいですか?
Q.文章を書くのが苦手です。制作会社に任せられますか?
Q.会社概要に住所を書きたくないのですが、伏せても大丈夫ですか?
Q.「地域密着」「丁寧な対応」と書くのは、何がいけないのですか?
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