LIT STUDIO
業種別約8分で読めます

運送会社のホームページの作り方 ─ ドライバー採用と荷主の信頼に効くサイト

運送会社のホームページがいちばん働くのは、求職者と荷主が会社を確かめる場面です。給与を幅で出す採用ページ、運ぶ条件だけを聞く見積もりフォーム、荷待ちと荷役の記録を荷主との話し合いの材料にする考え方を整理しました。

運送会社の車庫で、トラックの横に立ってタブレットを見ているドライバー

運送会社の仕事は、既存の荷主や紹介で回っていることが多く、ホームページから新しい荷主が来ることはそれほど多くありません。それでもホームページが役に立つ場面が2つあります。応募を考えている人が会社を確かめるときと、取引を考えている荷主が会社を確かめるときです。

この記事では、運送会社のホームページに何を載せ、採用と荷主の確認にどう応えるかを書きます。あわせて、荷待ち・荷役の記録の決まりと、2026年4月に一部が始まった改正物流効率化法の流れにも触れます。

運送会社のホームページの役割は「採用」と「荷主の確認」

見る人見ているもの確かめたいこと
求職者(ドライバー)給与・休日・車両・働く雰囲気・安全への姿勢ここに入って大丈夫か
荷主・元請け対応エリア・車両・実績・会社の所在・法令への対応ここに任せて大丈夫か

求人媒体で会社名を見た人が、応募する前に名前で検索することがあります。そのとき出てくるのが何年も前の情報だけだと、「今も動いている会社か」と不安になります。荷主の担当者も、新しく取引を考えるときは、所在地・許可・車両を自分で確かめたいと考えます。

スマホで会社名を検索する求職者と、事務所のパソコンで運送会社のサイトを確かめる荷主の担当者
求職者も荷主も、動く前に会社の所在と中身を確かめます

載せる内容

項目載せる中身主に誰のため
採用情報給与の幅・休日・免許取得の支援・先輩の声求職者
輸送サービスと対応エリア何を・どこまで運べるか荷主
保有車両種類と台数荷主(求職者も見る)
安全と法令への取り組みデジタコ(運行を自動で記録する装置)・点呼・荷待ちと荷役の記録など両方
会社概要一般貨物自動車運送事業の許可番号・所在地・営業所・沿革両方
問い合わせ窓口電話とフォームの両方両方

全日本トラック協会の「安全性優良事業所(G マーク)」の認定や、運転者の職場環境の認証を受けているなら、安全の取り組みの欄に書きます。どちらも、外から確かめられる事実です。

求職者と荷主では探しているものが違うので、トップページで「ドライバー募集」と「輸送のご相談」の入口を分けます。入口が「お問い合わせ」1つだけだと、求職者は営業の窓口に応募してよいのか迷います。

運送会社の事務所に「求職者向け」と「荷主向け」の2つの入口があり、それぞれの人が別の扉へ向かっている様子
トップに入口を2つ置くと、それぞれが迷わず進めます

ドライバー採用のページ ─ 数字・顔・休みと残業の実態

給与は幅で出す

「高収入」「安定」では、求職者は自分の生活に当てはめて考えられません。

あいまいな書き方数字で出す書き方
高収入「月給◯万〜◯万円(乗務の内容による)」のように幅で出す
休みあり週の休日数・年間の休日数を書く
未経験歓迎免許取得の支援の有無と中身を書く

働く人の顔と声を載せる

先輩ドライバーの1日の流れ(出社から帰庫まで)、入社した理由、入ってから感じたことを載せます。写真は事務所や車庫で撮った自然なもので足ります。

車庫に停めたトラックの横で、先輩ドライバーが若い応募者に仕事の話をしている様子
一緒に働く人が見えると、求職者は働く様子を思い浮かべやすくなります

休みと残業は実態を書く

2024年4月から、トラックの運転者にも時間外労働の上限(臨時的な場合も年960時間)が適用され、拘束時間や休息期間の基準(改善基準告示)も改正されました(厚生労働省の案内)。求職者が気にするのは、こうした決まりの上で、実際にどう働くかです。

「繁忙期は残業が増える」のであれば、そのまま書きます。実態と違うことを書くと、入社してからの食い違いが離職につながります。法律で書くことが決まっている労働条件や、採用ページ全体の作り方は 中小企業の採用ページの作り方 にまとめています。人手の確保が課題になる点は、警備会社のホームページの作り方 や 建設会社・工務店のホームページの作り方 とも共通します。

荷主向けのページは「見積もりの依頼」までを短くする

荷主の担当者が知りたいのは、「うちの荷物を、この条件で運べるか」です。

書くこと例
運べる荷物品目、重さや大きさの目安、冷蔵・冷凍に対応しているか
車両の種類トン数、荷台の形(ウイング・平ボディなど)、台数
対応エリアと運び方市内配送・道内・道外、定期便かスポットか
保険運ぶ荷物に掛けている保険
許可と会社の情報許可番号、所在地、営業所

見積もりに要るのは、発地と着地、荷物の種類と量、日時と頻度の3つです。フォームはこの3つを中心にし、会社名と連絡先を足せば足ります。項目を減らす考え方は 問い合わせが増えるホームページの作り方 にまとめています。

荷主の社名は出せないことがほとんどです。その場合は、「食品の冷蔵輸送・札幌から道東・週3便」のように、品目・区間・頻度で書きます。長く続いている取引なら、続いている年数も添えます。

北海道の運送会社なら、冬の運行の考え方も書いておきます。冬道への備え、大雪のときの連絡の仕方、遅れが出そうなときの知らせ方です。冬道に不安のある求職者も読みます。

協力会社(傭車)の募集

運送会社のサイトには、一緒に仕事を回す協力会社も見に来ます。協力会社を募集しているなら、1ページにまとめます。

  • 募集している車両の種類と、主な仕事のエリア
  • 定期の仕事か、スポットの仕事か
  • 支払いの条件(締め日と支払日)
  • 安全の決まり(点呼や記録の扱いなど)
  • 問い合わせの窓口

この場合は、トップページの入口を「ドライバー募集」「輸送のご相談」「協力会社の募集」の3つにします。

荷待ち・荷役の記録と、荷主との話し合い

記録の決まりの移り変わり

いつから中身
2017年7月車両総重量8トン以上か最大積載量5トン以上のトラックで、荷主の都合で30分以上待った場合に、荷待ちの時間などを業務の記録に残す
2019年6月同じトラックで、荷役作業や附帯業務を行った場合も記録の対象に加わる
2025年4月記録の対象が全車両に広がる

決まりは 貨物自動車運送事業輸送安全規則 第8条にあり、業務の記録は1年間保存します。経緯は 国土交通省の案内 と 2025年4月の拡大の案内 にまとまっています。

荷主の側にも義務ができた

改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)により、2025年4月から、すべての荷主と物流事業者に、荷待ち時間や荷役の時間を短くする努力義務がかかりました。2026年4月からは、一定規模以上の荷主などが「特定事業者」として指定され、中長期の計画の作成や定期の報告が義務になり、特定荷主は物流統括管理者を選ぶことになりました(国土交通省の案内)。

数字で残すと話し合いの材料になる

荷主の側も荷待ちの時間を減らす立場になったので、運送会社が記録を数字で持っていることは、話し合いの出発点になります。「いつも待たされている」ではなく、「今月はこの荷主のこの場所で、合わせてこれだけ待った」と示せます。国土交通省が告示している標準的運賃にも、30分を超える待機の時間について30分ごとの待機時間料の目安が示されています(国土交通省の通知)。実際に請求できるかは、荷主との契約で決まります。

ホームページには、記録の仕組みがあることを安全と法令への取り組みとして書きます。荷主が確かめたいことに、そのまま答えられます。

倉庫の搬入口でトラックの運転席に座ったまま荷物を待ち、スマホで待機時間を記録しているドライバー
待つたびに記録が残れば、月ごとの実態が数字で分かります

費用の目安と、作ってから止めないための運用

制作の費用は、ページ数と、採用のページや応募のフォームなどの機能で決まります。業種で決まる相場はないので、見積書の項目で比べてください。内訳の考え方は ホームページ制作の費用相場、補助金を使う場合の流れは 札幌・北海道の事業者向け補助金ガイド にまとめています。

給与の幅・休日・車両の台数・許可番号は、どれも会社の中にある情報です。先に揃えておくと、制作側との確認の往復が減ります。揃えるものの一覧は ホームページ発注前の準備リスト、車両や車庫の写真の撮り方は ホームページの写真はスマホで十分? にあります。

公開した後は、次の3つを続けます。

  1. 募集を締め切ったら「現在は募集していません」に切り替え、再開したら戻す
  2. 車両の台数や種類が変わったら、保有車両の欄を直す
  3. 電話に出られない時間に届いたフォームには、翌営業日までに返すなど、社内の決まりを作っておく

まとめ ─ 公開前の確認リスト

  • 採用情報・輸送サービスと対応エリア・保有車両・安全と法令への取り組み・会社概要・問い合わせ窓口が揃っているか
  • トップから「ドライバー募集」と「輸送のご相談」に別々に入れるか
  • 給与を幅で出し、休みと残業の実態を書いているか
  • 先輩ドライバーの顔と声を載せているか
  • 荷主向けに、運べる荷物・車両・エリア・保険・許可番号を書き、見積もりのフォームを置いているか
  • 荷待ちと荷役の記録を、安全と法令への取り組みとして書いているか

LIT STUDIO(札幌)では、運送会社のホームページを 50,000円〜(5ページまで・最短3日)で作っています。採用のページを足す場合は 30,000円、保守は月5,000円です。荷待ちの時間をスマホで記録する業務アプリ「ニマチログ」も、ホームページと一緒に相談できます。業務アプリは、作ってあるものをそのまま使う「使ってみる」0円、手直しする「合わせる」50,000円〜、ゼロから作る「つくる」98,000円〜で、使うときは月2,980円〜(10人まで)です。料金の内訳と見積もりは 料金ページ、アプリの費用の考え方は 業務アプリ開発費用の相場、業種向けの案内は 運送・物流業向けのページ にまとめています。

よくある質問

Q.荷待ちの記録は、軽貨物の車両も対象ですか?
2025年4月1日から、記録の対象は全車両に広がりました。貨物軽自動車運送事業者は、四輪以上の軽自動車で運ぶ場合が対象です(貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条)。荷主の都合で30分以上待った場合の荷待ちの時間と、荷役作業や附帯業務を行った場合の内容を、業務の記録に残し、1年間保存します。細かい書き方は国土交通省の案内で確かめてください。
Q.給与をはっきり書けないときは、採用ページにどう書けばいいですか?
幅で書きます。「月給◯万〜◯万円」とし、何によって変わるか(乗務の内容、経験、手当)を一言添えます。モデルの例として「大型・道内の定期便・経験3年」のように条件をつけた月収の例を載せると、求職者が自分に当てはめて考えられます。実態と離れた上限の数字だけを大きく見せるのは避けてください。
Q.協力会社の募集ページには、何を書けばいいですか?
募集している車両の種類と主な仕事のエリア、定期かスポットか、支払いの条件(締め日と支払日)、安全の決まり(点呼や記録の扱い)、問い合わせの窓口の5つです。トップページの入口を「ドライバー募集」「輸送のご相談」「協力会社の募集」の3つに分けると、それぞれが迷わず進めます。
Q.物流効率化法の改正で、運送会社が気にすることは何ですか?
2025年4月から、すべての荷主と物流事業者に荷待ちや荷役の時間を短くする努力義務がかかり、2026年4月からは一定規模以上の荷主などに中長期の計画や定期の報告が義務になりました。荷主の側も時間を減らす立場になったので、運送会社が荷待ちと荷役の時間を数字で持っていると、改善の話し合いを始めやすくなります。

あわせて読む