レンタルサーバー・VPS・クラウドの違いをやさしく解説|「誰が更新するか」で選ぶサーバーの基本
サーバーの種類の違いは、借りたあとに中身の更新を誰がするかです。レンタルサーバー・VPS・クラウド・専用サーバー・サービス型を比べ、自分のサイトがどれか確かめる方法と、目的別の選び方をまとめました。

ホームページの置き場を調べると、「レンタルサーバー」「VPS」「クラウド」「専用サーバー」と、似た言葉がたくさん出てきます。どれも「サイトを置いておくコンピューターを借りる」ことには変わりありませんが、大きく違う点が1つあります。それは、借りたあとに、中身の更新を誰がするかです。
2026年10月に PHP の重大な欠陥(PHP2Shell)が見つかったとき、同じ欠陥なのに「何もしなくてよいサイト」と「すぐ直さないといけないサイト」に分かれたのも、この違いのためでした。この記事では、それぞれの仕組みと代表的なサービス、自分のサイトがどれか確かめる方法、目的に合った選び方を順に説明します。
結論:違いは「中身の面倒を誰が見るか」
まず全体を表で見てください。赤い部分は、借りた人(お店や、お店に頼まれた制作会社)が自分で更新しないと古いままになる部分です。
| 種類 | 借りるもの | PHP・OS の更新 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 共用レンタルサーバー | 大きなコンピューターの一角(自分のフォルダ) | サーバー会社 | 会社案内・お店の紹介・WordPress |
| VPS | 区切られた自分専用のコンピューター1台分 | 借りた人 | 予約・会員など独自の仕組み、自動化の道具 |
| クラウド | 必要な分だけ借りるコンピューター(台数や性能を変えられる) | 借りた人(任せられる部分もある) | 利用者が増え減りするサービス、規模の大きい仕組み |
| 専用サーバー | 物理的なコンピューター1台まるごと | 借りた人(任せる契約もある) | 大規模なサイト、ほかと共有できない決まりがある場合 |
| サービス型 | サイトの仕組みごと | サービスの会社 | ネットショップ・手軽なホームページ |
そもそもサーバーとは
サーバーは、サイトの文章や写真、プログラムを置いておき、見に来た人に返すコンピューターです。インターネットにずっとつながっていて、電気が止まらない場所(データセンター)に置かれています。
自分の会社の中に機械を置くこともできますが、今はほとんどの会社が、サーバー会社から借りています。借り方の違いが、この記事で説明する「種類」です。住所にあたるドメインとの関係は、「ドメインとサーバーとは」で説明しています。
共用レンタルサーバーとは
どんな仕組みか
大きなコンピューター1台を、たくさんの利用者で分け合う仕組みです。利用者に渡されるのは自分用のフォルダと管理画面で、PHP やデータベースなどの土台は、サーバー会社が入れて、サーバー会社が更新します。管理画面から WordPress を入れたり、使う PHP の版を選んだりできます。
代表的なサービスは、さくらのレンタルサーバ、エックスサーバー、ロリポップ、ConoHa WING などです。
向いている使い方
会社案内やお店の紹介、ブログ、WordPress で作ったサイトなど、ふつうのホームページのほとんどに向いています。土台の更新を任せられるので、サーバーの専門知識が無くても使い続けられます。
気をつけること
- 土台はサーバー会社が更新しますが、WordPress 本体やプラグイン、EC-CUBE などのサイトの中身の更新は利用者の仕事です
- 古い版の PHP はいずれ提供が終わるので、古いままの WordPress や EC-CUBE は、ある日動かなくなることがあります
- ほかの利用者と分け合うので、常に動かしておくプログラムや、特殊な仕組みは置けないことが多いです
VPSとは
どんな仕組みか
VPS(仮想専用サーバー)は、大きなコンピューターを仕組みの上で区切り、その1台分を自分専用として借りるものです。中身は OS だけが入った空っぽの状態で渡され、管理者の鍵も借りた人が持ちます。ウェブサーバー・PHP・データベース・WordPress などは、自分で入れて、自分で更新します。
代表的なサービスは、さくらの VPS、ConoHa VPS、Xserver VPS などです。レンタルサーバーと同じ会社が売っていることが多いので、名前の最後に「VPS」が付いているかで見分けます。
向いている使い方
予約や会員の仕組み、業務用のシステム、自動化の道具など、レンタルサーバーでは動かせないものを置きたいときに向いています。ほかの利用者の影響を受けにくいのも利点です。
気をつけること
- OS も PHP も、借りた人が更新し続ける必要があります。サーバー会社が見るのは機械が動いているかどうかまでで、中身には手を出しません
- 制作会社が VPS にサイトを建て、そのまま誰も中を触っていない、というのが一番危ない形です。2026年10月の PHP の欠陥でも、この形のサイトは穴が開いたままになりました
- 控え(バックアップ)や、止まったときに気づく仕組みも、自分で用意します
クラウドとは
どんな仕組みか
AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud、Microsoft Azure のようなクラウドでは、コンピューターを必要な分だけ借り、台数や性能をあとから増やしたり減らしたりできます。仮想のサーバーを借りる使い方なら、管理の範囲は VPS と同じで、OS や PHP は借りた人が更新します。
一方で、データベースなどを「管理つき」で借りれば、その部分の更新はクラウドの会社に任せられます。どこまでを自分で持つかを選べるのがクラウドの特徴です。
向いている使い方
利用者の数が大きく増え減りするサービスや、いくつもの仕組みを組み合わせる規模の大きいシステムに向いています。
気をつけること
- 選べることが多い分、設定を誤ると情報が外から見える状態になることもあります。詳しい人が設計・管理する前提のものです
- 「ボタン1つで WordPress が入った箱を作れる」機能もありますが、作るのが簡単なだけで、中の更新は借りた人の仕事のままです
専用サーバーとは
どんな仕組みか
データセンターにある物理的なコンピューター1台を、区切らずにまるごと借りるものです。機械の性能を全部自分で使えます。管理は借りた人がするのが基本ですが、OS などの管理まで会社に任せる「マネージド」と呼ばれる契約もあります。
向いている使い方
利用者の多い大きなサイトや、取引先の決まりでほかの会社と機械を共有できない場合に向いています。中小企業のホームページで選ぶことはあまりありません。
サーバーを借りない選択肢(サービス型・置き場のサービス)
サービス型(Shopify・BASE・Wix など)
Shopify・BASE・STORES のようなネットショップのサービスや、Wix・Jimdo のようなホームページのサービスは、サーバーだけでなく、サイトの仕組みごと会社が用意して動かしています。土台もサイトの仕組みも会社が更新するので、お店の側でサーバーの心配をすることはほとんどありません。代わりに、できることは会社が用意した範囲に限られます。
置き場のサービス(Vercel など)
Vercel・Netlify・Cloudflare Pages のような置き場のサービスは、作ったサイトを渡すと、そのまま動かしてくれます。土台の更新はサービスの会社がするので、レンタルサーバーに近い感覚で使えます。ただし、サイトに使っている部品(Next.js など)の更新は作り手の仕事です。LIT STUDIO のサイトは、この形で作っています。
自分が使っているサーバーの確かめ方
- 請求書・契約のメールを見る: 「さくらのレンタルサーバ」「エックスサーバー」ならレンタルサーバー、「〇〇 VPS」なら VPS、「AWS」「Google Cloud」ならクラウドです
- 管理画面を見る: レンタルサーバーには「サーバーパネル」「コントロールパネル」のような管理画面があり、PHP の版を選ぶ画面があります。VPS やクラウドの管理画面には、サーバーの起動・停止のボタンが並んでいます
- 制作会社に聞く: 「うちのサイトは、共用のレンタルサーバーですか。VPS かクラウドですか。PHP の更新は誰がしていますか」とそのまま聞いて構いません
最後の「PHP の更新は誰がしていますか」の答えが、すぐに返ってこない場合は要注意です。誰も更新していない可能性があります。
目的別の選び方
会社案内・お店の紹介のサイト
共用のレンタルサーバーか、サービス型、または置き場のサービスで足ります。大事なのは、公開したあとに文章や写真を直し続けられることです。サーバーの管理に手を取られない形を選んでください。
ネットショップ
まずは Shopify・BASE・STORES のようなサービス型を比べるのがおすすめです。EC-CUBE のように自分で置く仕組みを選ぶ場合は、PHP と EC-CUBE の更新を誰が続けるかを、作る前に決めておいてください。比べ方は「Shopify・BASE・STORES の比較」にまとめています。
予約・会員・業務の仕組み
レンタルサーバーやサービス型では足りない場合に、VPS やクラウドを選びます。この場合は、サーバーを管理する人(制作会社の保守など)とセットで考えてください。作った人がいなくなったあとに、誰も中身を更新できなくなるのが一番困る形です。
自分で管理するサーバーで起きやすい困りごと
VPS・クラウド・専用サーバーを使っている場合、次のことが起きやすくなります。
- 更新を忘れる: OS や PHP の欠陥が見つかっても、誰も気づかず古いままになる
- 控えが無い: 壊れたり書き換えられたりしたときに、元に戻す控えを取っていない
- 止まっても気づかない: サイトが表示されなくなっていても、お客様に言われるまで分からない
- 鍵の在りかが分からない: サーバーに入るための情報を、辞めた担当者や前の制作会社しか知らない
心当たりがある場合は、今の制作会社に「更新・控え・止まったときの確認を、誰がしているか」を聞いてみてください。返事を見れば、今の状態がおおよそ分かります。
まとめ
- レンタルサーバー・VPS・クラウド・専用サーバーの違いは、中身の更新を誰がするかです
- ふつうのホームページなら、共用のレンタルサーバーかサービス型、置き場のサービスで足ります
- VPS やクラウドは自由に使える代わりに、更新を続ける人が要ります
- 自分のサイトがどれか分からないときは、請求書と管理画面を見るか、制作会社に聞いてください
サーバーは借りて終わりではなく、借りたあとも中身を新しく保ちながら、サイトと一緒に育てていくものです。今のサーバーのままでよいか、移ったほうがよいか迷っている、という段階のご相談もお問い合わせから受け付けています。
よくある質問
Q.初心者は、レンタルサーバーと VPS のどちらを選べばよいですか?
Q.VPS のほうが安全ですか?
Q.クラウドと VPS は何が違いますか?
Q.今のサーバーから別の種類に移せますか?
あわせて読む
